「一緒」－第三章－ (ページ29)

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俺は撮影のセットのイチゴが入った籠から2、3粒イチゴを摘み、口の中に放り込んだ。

どこのイチゴかは分からないが甘くておいしいので、こっそりもう2粒手に持って上機嫌で休憩室に向かった。

「おつかれ、テテ！随分早かったね。」

TH「そう？みんなこんなもんかと思ってた。」

休憩室には撮影を終えたモデルたちがメイクを落としたり、差し入れのサンドウィッチを頬張ったり、と各々自由にくつろいでいる。

俺は撮影前に椅子の上に置いた荷物から画面が真っ黒なスマホを取り出し、電源を入れた。

その様子を覗いていたモデルの一人が困惑した声を上げた。

「おいおい、撮影中お前電源切ってんの？」

TH「撮影中以外にもプライベート用は最近日中は切ってます。寝る前に全部確認すればいいと思って。」

「はは～どおりで最近返信がカメなわけだ。前ならどんな時でも送った数秒後には既読がついてたのに。どーゆー心境の変化？彼女とうまくいってないとか？」

TH「違いますよ。」

俺はスマホをテーブルの上でクルクルと回した。

TH「今はプライベートより仕事に力を入れようと思って。俺の演技で感動させたい人がいるんです。」

「それって女？」

先輩が揶揄うように小指を立てたので、その小指をグッと掴んで彼の拳の中に納めてやった。

TH「違いますよ。そんなんじゃありません。もっともーっと繋がりが深い人です。」

「えー何それ、チョー意味深じゃん！もしかして、それって噂の子？ハヨンから聞いたよ！」

ゴシップの匂いを嗅ぎつけた控室にいるほとんどのモデルたちが俺の周りを囲い、彼から話を聞こうと躍起になった。

　
TH「誰かキムチと餃子食べたでしょ。すごく臭いよ。」

「因みにそれは俺だけど、そうやって話ずらそうとすんなって。」

TH「俺が絶対話したくないって言ったら？」

「誰かはお前の跡を付けて正体を突き止めようとするだろうな。」

TH「そうだね、ソアとか気が強いし行動力の化身みたい子だから絶対するよ。現に、このあいだもそのことで質問攻めにあったからね。」

「あーあの子はするな。テヒョンに気がありそうだし。」

その瞬間、俺の手の中で起動したスマホが一気にメッセージを受信し連続で震えた。