「一緒」－第三章－ (ページ19)

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そんな幸せな夜を過ごした次の日。

玄関のチャイムが鳴ったのは、正午を過ぎたお昼時のことだった。

僕以外の兄弟たちはその時丁度留守にしており、出られるのは僕一人だけだった。

僕は扉の向こうの人に返事をして、カギを開けるがしかし扉を開けた先に居たのは宅急便の職員ではなかった。

？「ここ、キム・テヒョンの家で合ってる？」

JM「テヒョンの家はここで合ってますけど……」

そこに居たのは、ツリ目のアーモンド形の瞳が特徴的な長い髪の女性だった。

スタイルの良い体を強調するような、ピッタリとしたタイトワンピを身に付けた彼女は僕の顔を見るなり鼻で笑った。

？「あなたに用はないわ。最近ここに良く来てる女がいるでしょ、そいつを出しなさい。」

JM「……えっと、あなたは誰？」

SA「私はソア。テヒョンの彼女なの。」

JM「え！？」

僕は思わず声を上げた。

目の前にいるこのセクシーな女性がテヒョンの彼女だなんて、思いもよらなかった。

僕が衝撃で固まっていると、ソアは焦ったそうにヒールを踏み鳴らした。

SA「それよりも！テヒョンの女がここにいるんでしょ！？話付けるからこっちに連れてきなさい！」

JM「す、すみませんが、この家には女性なんて来てません。今は僕一人だけですし……」

僕がそう言うと、彼女が僕の全身をジーッと眺めて怪訝そうな顔をしたので、僕は慌てて寝ぐせだらけの髪を撫でつけた。

思えば、今の僕は初対面の女性に見せられるような恰好じゃない。

SA「アンタ、テヒョンの何よ。」

JM「僕はテヒョンの、兄弟です。」

SA「は！？アンタみたいな芋虫が？全然似てないわね。まあいいわ。兄弟ならテヒョンのこと、少しは知ってるでしょ？付いてきて。」

彼女はそう言うなり僕の腕を掴んで、家の前に停めていた真っ赤な車に僕を乗せた。

車内の強烈な香水の甘い匂いに戸惑っている間に、彼女は車を発進させてしまう。

JM「あ！家の鍵閉めてないのに！」

SA「強盗が入ったらある程度補助してやるわよ。」

JM「それに僕、靴履いてないし！下ろして！」

SA「どこかに閉じ込めたりなんてしないから、私に協力して！」

みるみるうちに大きなキム家の豪邸は遠のき、高級住宅地を抜けて都会の大通りに出る。

僕は逃げることも抵抗することも出来ず、テヒョンの彼女の車で都市の交差点を真っすぐ駆け抜けた。