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彼の言動にドキッとするのは、きっと僕と彼が全くの反対側にいる存在だからだ。


僕が恐れていることを、彼は平気で飛び越えていく。


僕が籠の中の小鳥だとするなら、彼は大空を飛び回る野鳥だろう。


「君はあれに参加しなくていいの?」


髭を顎と鼻下にたっぷり蓄えた男性が走り回る彼らを指して僕に問いかけた。


「何だか君があの輪に入りたそうにしてる気がしたから。」


JM「僕が居たら邪魔だと思いますから、ここで見てます。」


「入りたいなら入ればいいのに。邪魔だなんて思う訳ないだろ。ああいう遊びは人数が多い方が面白いよ。」


JM「良いんです。僕は明るいところに居ちゃいけない人間だ。」


「そう?そんな人いないと思うけど。」


彼はそこら辺にあった椅子を持ってきて、僕の隣に腰掛けた。


「君は確かジミン君、だっけ。」


JM「はい。」


「初対面の人間は恐い?」


JM「いえ、少し緊張しているだけです。」


「君の今の顔、鏡で見せてあげたいな。すっごい作り笑顔。まるで僕が敵みたいだよ。」


僕は慌てて顔を触った。


僕がどんな顔をしているのかは分からないが、唇が震えているのが分かった。


ちゃんと笑ってるつもりだったのに……


JM「……すみません、わざとしたわけじゃなくて、、、」


「あはは、いいよいいよ。僕の顔怖いもんね。娘によく泣かれるんだ。ほっぺにチューしたかっただけなのに。」


男性は顎の黒ひげをしごいた。


「僕の娘も君みたいに遠慮しいで大人しくてね。僕的にはあれこれおもちゃでも絵本でも何でも買い与えて喜ばせてあげたいけど、彼女はそれを頑なに拒むんだ。彼女はお絵かきが好きでその中でピンク色のドレスを描くのがお気に入りなんだ。だけどある日よく使っていた桃色のクレヨンが磨り減って描けなくなった。ここですぐに無くなったから買ってほしいとおねだりすれば喜んで買ってあげたんだが、彼女はなんと妻が気付くまで桃色の代わりに赤色と白色を塗り重ねて我慢してたんだ。賢いけど、親としてはちょっと寂しかったね。」


男性は乾いた笑いを上げる。


騒然とした室内で掻き消えてしまいそうなささやかなものだった。


ただし、この男性は何かを勘違いしている。


僕は、遠慮しいで大人しい、我慢強い優しい人間なんかじゃない。


ただ、空っぽの中身を隠そうと必死にもがく”いい子”の仮面を被っただけの人間なんだから。

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作者名: | 作成日時:2021年9月25日 22時

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