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横からひょこっと顔を出した青年は、母親におもちゃを強請る子供みたいにホットショーケースの中の唐揚げを指さした。
それはオレンジ色の照明で照らされ、僕の目にも魅力的に映る。
運転の休憩がてらに寄ったコンビニは昼前ともあって結構の人数の客がいる。
次々と弁当が消えていく様は何だか面白い。
JK「ジミニヒョン、これ食べたいです。」
この子が近所に住んでるウサギにしか見えない……
今にも零れ落ちそうな大きな目で見られれば、断ることなんてできない。
まるで手に持ったキャベツをくれとウルウルとした瞳のウサギに見上げられているようだった。
休職中の身なので余計な出費は控えたいところではあるが、今にも涎を出しそうな飢えた表情を見ているとどうしようもない。
JM「いいよ、買ってあげる。」
僕が苦渋の決断で財布の紐を解いた時、ユンギヒョンが後ろから飛び出し、レジにアイスコーヒーを置いた。
YG「俺が買ってやるよ。」
JM「え、、」
カラスみたいに全身黒で統一されたファッションは彼の透き通るような白い肌に良く似合っている。
彼は僕達の方をちらりと見て目が合うと、あー、、、と小さく声を上げながら目を逸らした。
目にかかった前髪を指で払いのけた彼にジョングクはウサギのように飛びついた。
JK「奢ってくれるんですか、シュガヒョン！」
YG「おいっ！ペンネームで呼ぶな、ジョングク。」
JM「いいじゃないですか！それより唐揚げ！俺、プレミアムの方がいいです！！」
ジョングクがはしゃいでコツコツと指でガラスケースを突くのをユンギヒョンの骨張った手が払いのける。
YG「すみません、これ、二つ。」
僕が持っていたお茶もユンギヒョンにひょいと取り上げられた。
それは彼のコーヒーと一緒にレジ台に置かれ、彼はそのまま代金を払ってしまった。
咄嗟のことに僕は手も足も出ない。
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作者名：雛
| 作成日時：2021年9月25日 22時
