子孫たち ページ45
「お兄ちゃーん!大変!テレビ見て!!」
陽葵が大声で呼ぶものだから、何事かと慌てて向かうと伊之助そっくりの顔が映っていた。
いつも被り物をしていた伊之助だけれど、ご飯の時に何度か素顔を見たことがあった。
テレビの中の人は、貴重な花を枯らしてしまったことで報道されているらしい。
しかも名前も嘴平ときた。
間違いないだろう。
その後、暫く見ているとニュースは特集に切り替わる。
「こちらが日本最高齢記録を更新した産屋敷さんです」
リポーターの紹介に「あっ」と二人で声を揃える。
「へぇー、輝利哉様、日本一なんだ!凄いね!」
「あぁ」
「なんか、変な感じ。あの頃は私たちより少し年上のしっかりしたお兄ちゃんだったのに、今はすっかりおじいちゃんなんだもん」
「だな…」
「ねぇ、覚えてる?こっちに戻ってから初めて輝利哉様に会った日のこと」
あれは初めて舞の奉納を見に行った時のこと。
全ての演目が終わった後、輝利哉様が僕らのところに歩いてきたのだ。
「号泣して抱き付いてきたな」
「びっくりしたけど、嬉しかった。戻ってから会えたのAと輝利哉様だけだもん」
しゅんっと陽葵が肩を落とす。
「でもあいつらの子孫には会えただろ」
「うん。…お兄ちゃんは炭治郎と善逸と禰豆子ちゃん、それから村田さんでしょ」
「お前はきよちゃんたちと冨岡さんだよな」
「私の小学校で見かけた時は、驚いたな」
俺たちは高校と小学校の教師となった。
何故なろうと思ったかは分からない。
けれど、昔の人がどうやって生きてきたか伝えたくなったのかもしれない。
幼かった俺たちは、どういう訳か大正時代にタイムスリップした。
そこで俺たちの先祖、Aと実弥に出会ったのだ。
「あとさ、最近知ったんだけど、この前引っ越してきたお隣さん、お兄ちゃんみたことある?」
陽葵が唐突に言う。
「いや?ないけど、確か佐藤さんだっけ?」
「うん。……あのね、彼女うちの学校の新任の先生だったの」
「へぇー」
「名前はA…」
「A?同じ名前なんだな」
笑うと陽葵が少し言い淀む。
「………それだけじゃないよ。似てるんだ。……私たちの知ってるAに。………そっくりなの」
「…。」
「この前、たまたま彼女の実家に行くことになって。………その家どこだったと思う?」
「どこって…」
俺が分かる筈ないだろ。
「昔行ったAの実家だったの。………ねぇ、分からない?Aの旧姓、佐藤だよ」
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月見(プロフ) - さいさいさん» 『1』を更新していた頃からコメント等で応援して下さり、ありがとうございました!キュンキュンして貰えて何よりです(*^^*)家族ごっこロス…そう思って貰える程のお話が書けたこと、嬉しく思います。完結までお付き合い頂き、本当にありがとうございました!! (2021年8月28日 23時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
さいさい(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れ様でした!もう、実弥ファンにはたまらんですね、このお話!!最初から最後まで実弥さんカッコ良くてキュンキュンでした(*ノωノ)でもでも、実弥さん亡くなる場面はマジで泣きました…暫くの間家族ごっこロスになりそうです(汗) (2021年8月28日 22時) (レス) id: c849ade054 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - きなぽん、さん» コメントありがとうございます!実弥さん推しの方にそう言って頂けて嬉しいです(*^^*)頑張った甲斐があります! 最後まで読んで頂き、ありがとうございました! (2021年8月28日 9時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
きなぽん、 - 素敵なお話でした!完結おめでとうございます!実弥推しにとってたまらん話でした...涙 (2021年8月28日 6時) (レス) id: 27e629c512 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - さくらさん» 最後まで読んで頂き、ありがとうございます!最高の作品と言って頂けて、とても嬉しいです(*^^*)完結した今、1から読むとまた違った楽しみ方もできるかと思いますので、宜しければ是非! 次回作も楽しんで貰えるように頑張ります! (2021年8月24日 21時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2021年7月31日 19時