家族ごっこ始めました 6【不死川実弥】

対決 ページ5

岩柱様は足を、富岡さんは腕をそれぞれ片方失っていて、伊黒さん、善逸くん、伊之助くんも血だらけで倒れている。


誰もかれもピクリとも動かない。


「っ！」

どくり、と心臓が嫌な音を立てる。

冷や汗が止まらない。


師範は…？

師範はどこ？


首を動かしてあちこち確認する。


少しして建物の上の方。

空いた壁の穴に見慣れた足が出ているのを見つけた。


無事かどうか、すぐにでも確認したかった。


けれど、ドッと音がしてそちらに目を向けると、無惨の目の前でカナヲちゃんが膝を付いて固まっている。


私が行かなきゃ…！

そう思うのに足が震えて、動き出すのに時間がかかった。


モタモタしていると、私の横を何かが凄い速さで飛び出す。


「ヒノカミ神楽 輝輝恩光」


ぶわりと無惨が独特の火に包まれて、カナヲちゃんに襲いかかろうとしていた腕が落ちた。

次の瞬間には、カナヲちゃんの姿がそこから消えていた。

この技、知ってる。

炭治郎くんだ。


振り返ればカナヲちゃんを抱えて、近くの隠に預けている姿が目に入った。

立ち上がって振り返った炭治郎くんが無惨を睨み付ける。


「終わりにしよう、無惨」


その言葉をきっかけに炭治郎くんと無惨の激しい戦いが始まった。


ヒノカミ神楽を使う炭治郎くんの顔付きが今までと違う。

「日の呼吸 円舞」

無惨に切り込んでいくと、円舞から烈日紅鏡、火車と次々に技を連発していく。


「凄い………」

思わず呟いてハッとする。


見とれている場合ではない。

私も加勢しないと！


「風の呼吸 漆ノ型 勁風・天狗風」

炭治郎くんの動きに合わせて駆け出した私は技を放つ。


彼がよろけて無惨の管が炭治郎くんに襲いかかろうとしているところを切り込んだ。

村田さんから受け取った紙で姿が見えない筈なのに、管が一本私めがけてひゅっと飛んで来る。

刀で軌道を反らしたけれど、額に付けていた紙が裂けた。


「っ！」

「お前だったか」


もうばれてしまった。

姿が見えた途端、全ての管が私に向けられる。


「Aさん！」

炭治郎くんの驚く声がする。


「陸ノ型 黒風烟嵐」

下から上へ巻き上げるように刀を振って、軌道を反らすと直ぐ様その場から飛び退く。

私に合わせるように炭治郎くんも幻日虹、灼骨炎陽と技を放った。


けれど次の瞬間、炭治郎くんが突然吐血する。

技を連発し過ぎたのだろう。

ぎりぎりのところで攻撃を交わすと、夜明けまで無惨を逃がすまいとまた立ち向かっていく。

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