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正真正銘 ページ26

「A」と名前を呼ばれて、視線を木箱から実弥さんに移す。



「いや、佐藤Aさん。俺の妻になって下さい」


そう言って、木箱の中身を手渡された。

渡された物の正体を見て私は目を見開く。


「こ、これ!………どうして?」



淡い桃色の装飾が付いた花柄の簪だった。

この間、四人でお出掛けした時に見ていたものだ。


「似合ってたからなァ…」

愛おしそうに目を細めて実弥さんが私を見る。


「で、でもいつの間に!?」

「ンなことより、返事はァ?」


真剣な視線が、じっと私の返事を待っていた。


あぁ、どうしよう。

凄く嬉しい。


こんなに幸せで良いんだろうか……


心臓がかつてないほど大きく、早く音を立てる。

先ほどからずっと、どきどきしっぱなしだ。


「実弥さんが望んでくれるなら、………私をあなたの妻にしてください」


「決まりだなァ」


「貸してみろ」と私の手から簪を取った実弥さんが髪に差してくれる。

それからまじまじと私を見て「綺麗だ…」なんて言うから元々熱かった顔が更に熱くなる。


綺麗だなんて初めて言われた………


「……ありがとうございます」

自然と緩んだ口元で笑うと、実弥さんが私の唇に自身の唇を重ねた。


「っ!?」

突然の事に驚いて身を引くと、くすっと笑われる。


「A、これぐらい早く慣れろォ」

「なっ!………だ、だって!急にされると思わなくて………!!」

「じゃあ、宣言してからなら良いのかァ?」

「え!」


いや、そう言うわけでは………

と思っていると目の前でニヤリと笑われる。


「仕切り直しだァ」

言うや否や実弥さんが私の頬に手を添える。


「えっ!?ちょ、ちょっと!待ってください!!」

「待てねェ…」

その言葉の後、ちゅぅっと唇を奪われる。


「…んんっ!」

最初は少し強引だったけれど、ゆっくりと味わうように角度を変えて何度も唇を重ねられる。


想いが通じ合ってからは初めてのその行為に、恥ずかしさと幸せを感じて、胸がいっぱいだった。

きゅっと実弥さんの服の胸の辺りをを掴む。


ずっと、曖昧だった私たちの関係は確かなものに変わろうとしていた。

もう今までのごっこ遊びのような家族の真似事じゃなくて、正真正銘、夫婦として私は実弥さんと本当の家族になろうとしているんだ。


嬉しくて答えるように私からも実弥さんを求めると一瞬、彼の体が跳ねた。

二度目→←閉じ込めていた想い



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設定タグ:鬼滅の刃 , 不死川実弥   
作品ジャンル:アニメ
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月見(プロフ) - さいさいさん» 『1』を更新していた頃からコメント等で応援して下さり、ありがとうございました!キュンキュンして貰えて何よりです(*^^*)家族ごっこロス…そう思って貰える程のお話が書けたこと、嬉しく思います。完結までお付き合い頂き、本当にありがとうございました!! (2021年8月28日 23時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
さいさい(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れ様でした!もう、実弥ファンにはたまらんですね、このお話!!最初から最後まで実弥さんカッコ良くてキュンキュンでした(*ノωノ)でもでも、実弥さん亡くなる場面はマジで泣きました…暫くの間家族ごっこロスになりそうです(汗) (2021年8月28日 22時) (レス) id: c849ade054 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - きなぽん、さん» コメントありがとうございます!実弥さん推しの方にそう言って頂けて嬉しいです(*^^*)頑張った甲斐があります! 最後まで読んで頂き、ありがとうございました! (2021年8月28日 9時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
きなぽん、 - 素敵なお話でした!完結おめでとうございます!実弥推しにとってたまらん話でした...涙 (2021年8月28日 6時) (レス) id: 27e629c512 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - さくらさん» 最後まで読んで頂き、ありがとうございます!最高の作品と言って頂けて、とても嬉しいです(*^^*)完結した今、1から読むとまた違った楽しみ方もできるかと思いますので、宜しければ是非! 次回作も楽しんで貰えるように頑張ります! (2021年8月24日 21時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月見 | 作成日時:2021年7月31日 19時

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