話し ページ23
「えっ?二人とも覚えてるの?」
「うん!悪いやつやっつけてくれたの、かめんらいだーみたいでかっこよかった!」
「ちがうよ!Aはおんなのこだから、ぷりきゅあだもん!」
むぅっと二人が顔をしかめる。
持ってきていた鞄からそれぞれお気に入りのかめんらいだーの人形とぷりきゅあとやらのおもちゃを取り出す始末だ。
「二人とも喧嘩しないの」
しゃがみこんで二人と目線を合わせて宥める。
見かねた実弥さんが座り込むと、持ってきていた握り飯の包みを広げた。
「ほら、昼餉にすんぞォ」
*****
四人並んで握り飯をもぐもぐと食べる。
おかずは梅干し、しゃけ、こんぶ、おかかの四種類。
陽葵は嫌いな梅干しを避けて、しゃけとこんぶを選んでいた。
実弥さんが言っていたように、ここは夜とは全然違った雰囲気だった。
吹く風がそよそよと気持ちいいし、山に位置していることもあって眺めも良く、草花も多い。
私たちの他にも数名の家族連れが来ていた。
「何だか、ここが本当にあの日の場所とは思えません」
ぽつりと呟くと「そうだなァ」と隣から実弥さんの声がする。
お腹がいっぱいになると、陽翔と陽葵は「探検する!」と言って広い公園を駆けていた。
私も実弥さんも直ぐに動く気には慣れなくて、座り込んだまま二人の姿を眺める。
「陽翔と陽葵に出会ったのもこの場所だったけどよォ。Aと初めて会ったのもここだったなァ」
しみじみと話す実弥さんに私も思い出しながら答える。
「そうですね」
あの頃の私は実弥さんのことが怖くて、近寄りがたい人だと思ってたっけ。
「………。」
「………。」
訪れた沈黙が何だか気まずくて、ちらりと実弥さんの様子を窺う。
暫くして「なァ…」と声をかけられた。
「はい」と返事をするけれど、実弥さんは黙ったままだ。
不思議に思って「実弥さん?」と隣を覗き込む。
「………前に無惨との戦いが終った後、お互いに生きてたら話し聞いて欲しいって言ってただろ」
「…!は、はい!」
遂に来た!と内心ビクリとする。
気になってはいたけれど、こちらから聞くのは違う気がして、私は彼が話そうとしてくれるのを待っていた。
「…今、その話し、して良いかァ?」
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月見(プロフ) - さいさいさん» 『1』を更新していた頃からコメント等で応援して下さり、ありがとうございました!キュンキュンして貰えて何よりです(*^^*)家族ごっこロス…そう思って貰える程のお話が書けたこと、嬉しく思います。完結までお付き合い頂き、本当にありがとうございました!! (2021年8月28日 23時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
さいさい(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れ様でした!もう、実弥ファンにはたまらんですね、このお話!!最初から最後まで実弥さんカッコ良くてキュンキュンでした(*ノωノ)でもでも、実弥さん亡くなる場面はマジで泣きました…暫くの間家族ごっこロスになりそうです(汗) (2021年8月28日 22時) (レス) id: c849ade054 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - きなぽん、さん» コメントありがとうございます!実弥さん推しの方にそう言って頂けて嬉しいです(*^^*)頑張った甲斐があります! 最後まで読んで頂き、ありがとうございました! (2021年8月28日 9時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
きなぽん、 - 素敵なお話でした!完結おめでとうございます!実弥推しにとってたまらん話でした...涙 (2021年8月28日 6時) (レス) id: 27e629c512 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - さくらさん» 最後まで読んで頂き、ありがとうございます!最高の作品と言って頂けて、とても嬉しいです(*^^*)完結した今、1から読むとまた違った楽しみ方もできるかと思いますので、宜しければ是非! 次回作も楽しんで貰えるように頑張ります! (2021年8月24日 21時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2021年7月31日 19時