陽翔と陽葵 ページ18
翌日から私たちの新な生活が始まった。
朝起きて昼間は陽翔と陽葵と遊んで夜になると寝る。
当たり前のことだけれど、今までは鍛練や任務で忙しかった私たちが一日家にいて、遊んでもらえる事が二人は嬉しいようだ。
一週間似たような日々が続いて、元気に遊んでいた二人も流石に疲れたのかよく昼寝をするようになった。
「なァ…Aちょっといいかァ」
居間で二人の寝顔を眺めていると、実弥さんが机の前に座って話を持ちかけてくる。
「はい。…あ!もしかして、戦いの前に言ってた話しのことですか?」
何だか改まった実弥さんの様子に真剣な話なんだと思って、思い出したことを口にする。
何だかんだ、蝶屋敷ではお互い怪我でそれどころではなかったから、すっかり忘れてしまっていた。
「あー、それもあるけどよォ、今回は別だァ」
視線を反らして彼が頭を掻く。
「前に言ってた出掛ける話しなんだが………」
そう切り出してきた彼に“そっちの方か”と思い返す。
「陽翔と陽葵をあいつらに初めて二人に会った場所へ連れていこうと思う」
実弥さんの言葉に私は「え?」と目を見開く。
「それって、……あの村にですか?」
「あァ」
思ってもみなかった提案だった。
「それ、大丈夫でしょうか?……二人にとっては、怖い思いをした場所です」
なんと言ってもあの場所は陽翔と陽葵が鬼に襲われた場所だ。
嫌な記憶しかないだろう。
「だから相談してんだァ」
「…どうしてそんなところに?」
思ったことを口にすると実弥さんが目を伏せた。
「おかしいと思わねェか?あいつらがここへ来て随分経つのに、二人とも身長が全然伸びてねェ」
私実弥さんが眠っている二人に視線を移す。
「…。」
彼の言う通り、二人の身長はであった頃から伸びている様子がない。
髪の毛は伸びていくけれど、体の成長は感じられなかった。
「子どもってのは、日に日に大きくなるもんだ。特にこのくらいの年のガキなら尚更なァ」
弟妹がいたから実弥さんはそれを分かっているんだ。
私も妹がいるから、彼の言うことよく分かる。
この間、久しぶりに実家へ帰ると下の子は前に会ったときより少し背が伸びていた。
「Aも気付いてんだろ…」
「はい…」
「陽翔たちのことは分からねぇことが多すぎる。だから、あの場所に行けば何か分かるかも知れねェ」
実弥さんが真っ直ぐ私に向き直る。
「陽翔たちが嫌がったらすぐ帰る。だから行ってみねェか?あの場所に」
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月見(プロフ) - さいさいさん» 『1』を更新していた頃からコメント等で応援して下さり、ありがとうございました!キュンキュンして貰えて何よりです(*^^*)家族ごっこロス…そう思って貰える程のお話が書けたこと、嬉しく思います。完結までお付き合い頂き、本当にありがとうございました!! (2021年8月28日 23時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
さいさい(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れ様でした!もう、実弥ファンにはたまらんですね、このお話!!最初から最後まで実弥さんカッコ良くてキュンキュンでした(*ノωノ)でもでも、実弥さん亡くなる場面はマジで泣きました…暫くの間家族ごっこロスになりそうです(汗) (2021年8月28日 22時) (レス) id: c849ade054 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - きなぽん、さん» コメントありがとうございます!実弥さん推しの方にそう言って頂けて嬉しいです(*^^*)頑張った甲斐があります! 最後まで読んで頂き、ありがとうございました! (2021年8月28日 9時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
きなぽん、 - 素敵なお話でした!完結おめでとうございます!実弥推しにとってたまらん話でした...涙 (2021年8月28日 6時) (レス) id: 27e629c512 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - さくらさん» 最後まで読んで頂き、ありがとうございます!最高の作品と言って頂けて、とても嬉しいです(*^^*)完結した今、1から読むとまた違った楽しみ方もできるかと思いますので、宜しければ是非! 次回作も楽しんで貰えるように頑張ります! (2021年8月24日 21時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2021年7月31日 19時