退避 ページ1
鴉の案内でとある一ヶ所に集まり始めていた隊士たち数十名と合流した私は、彼らを引き連れて目的地を目指していた。
一歩進む度に、産屋敷邸が爆発した時に感じた気配によく似た気配が大きくなっていく。
恐らく、この先に無惨がいる。
緊張でごくっと唾を飲み込む。
「Aさん、僕たちは今どこに向かっているんでしょうか?」
不意に私の直ぐ後ろを走っている隊士が訪ねてくる。
「恐らくだけど、無惨のところだと思います」
私が言えば「無惨!?」と彼が声を上げる。
「Aさん!!何かあれば、僕が風柱様の代わりにAさんを守りますから!」
何故だか俄然やる気を見せる彼。
「え?えっと?あ、ありがとうございます?」
少々気になることもあるけれど、どうやら私のことを慕って着いてきてくれていることは伝わってくる。
この感じ、何だか久しぶりだ。
那田蜘蛛山で怪我をしたあと、風柱邸に戻ってからは、屋敷以外では他の隊士との合同任務もなかったからかな?
「全員待機ィ!待機ィ!!」
考えを巡らせていると案内してくれていた鴉が急に止まった。
足を止めて事情を詳しく聞こうとすると、鴉が続けて叫ぶ。
「退避ィ!!」
突然の指示変更に「えっ?」と声を上げたと同時に、感じていた気配が一気に大きく膨れ上がった。
ぎゃああああああーーー!!!という悲鳴が廊下の奥から響いてくる。
「一旦引キナサイ!!」
そんな鴉の声にハッとする。
この奥に居るのは間違いなく無惨だ。
「皆さん!退避します!走って!!」
元来た道へ戻るよう指示を飛ばして、彼らを急かす。
階級が低い一般隊士を連れて、柱が居ない状態で無惨と渡り合うのは危険だ。
私もただでは済まないだろう。
「ぐあっ!」
後ろから悲鳴と呻き声がする。
このままでは全員やられる。
来る!と悟って私は体ごと振り返る。
「風の呼吸 参ノ型 晴嵐風樹ッ!!」
技を繰り出すと同時に何かが飛んで来た。
「Aさん!!」
私を呼ぶ声と共に、ドンッ!と何かがお腹に当たった衝撃と太腿に鋭い痛みが走る。
「う゛っ!!」
仰向けで倒れる中、何かが私を飛び越えて行く。
「がっ…!」「うっ!」「ぎゃ…!」
など、声に成りきらない呻き声が耳に入ってくる。
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月見(プロフ) - さいさいさん» 『1』を更新していた頃からコメント等で応援して下さり、ありがとうございました!キュンキュンして貰えて何よりです(*^^*)家族ごっこロス…そう思って貰える程のお話が書けたこと、嬉しく思います。完結までお付き合い頂き、本当にありがとうございました!! (2021年8月28日 23時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
さいさい(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れ様でした!もう、実弥ファンにはたまらんですね、このお話!!最初から最後まで実弥さんカッコ良くてキュンキュンでした(*ノωノ)でもでも、実弥さん亡くなる場面はマジで泣きました…暫くの間家族ごっこロスになりそうです(汗) (2021年8月28日 22時) (レス) id: c849ade054 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - きなぽん、さん» コメントありがとうございます!実弥さん推しの方にそう言って頂けて嬉しいです(*^^*)頑張った甲斐があります! 最後まで読んで頂き、ありがとうございました! (2021年8月28日 9時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
きなぽん、 - 素敵なお話でした!完結おめでとうございます!実弥推しにとってたまらん話でした...涙 (2021年8月28日 6時) (レス) id: 27e629c512 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - さくらさん» 最後まで読んで頂き、ありがとうございます!最高の作品と言って頂けて、とても嬉しいです(*^^*)完結した今、1から読むとまた違った楽しみ方もできるかと思いますので、宜しければ是非! 次回作も楽しんで貰えるように頑張ります! (2021年8月24日 21時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2021年7月31日 19時