鬼喰い ページ8
余計なお世話だとは思うけれど、話ぐらい聞いてあげて欲しい。
そう思って、二人の間に入って声をかけようと立ち上がったとき、玄弥くんが信じられない言葉を溢した。
「そんな……俺…、鬼を喰ってまで…戦って来たんだぜ…………」
「………え?」
鬼を喰った………?
驚きのあまり、私は踏み出そうとしていた足が固まる。
実弥さんも玄弥くんを振り返って「何だとォ?」と信じられない様子で目を見開いて彼を見た。
あまりの気迫にビリビリと電流のように痺れる殺気が、実弥さんから伝わってくるようだった。
「今何つった?テメェ………鬼をォ?喰っただとォ?」
途端、目にも留まらない早さで玄弥くんに向かって飛び出した実弥さん。
その動きに私は反応出来なかった。
けれど、傍にいた炭治郎くんは違う。
「玄弥!」と彼の名を叫ぶと、目潰しをしようとしていた実弥さんを交わしながら玄弥くんを抱えて障子の方へ体を投げ出した。
バコッ!と障子が外れる音がした直後、ドンッ!と庭の方に倒れた大きな音がする。
「っ!玄弥くん!炭治郎くん!!」
目の前の出来事に漸く動き出した私は、廊下にいる実弥さんの傍に駆ける。
庭に投げ出された二人を確認すれば、炭治郎くんが玄弥くんを庇うように座り込んで「やめてください!」と訴えていた。
実弥さんが彼らの元へ一歩踏み出すと、廊下がミシッと音をたてた。
実弥さん………怒ってる。
表情を見なくてもわかった。
彼の背中からはとてつもない怒りの感情が溢れだしていた。
「っ、実弥さん!」
咄嗟に彼の腕を握る。
止めなくちゃ!
何が起こるかわからない。
そんな予感がした。
「邪魔すんなァ!」
けれどそれは呆気なく振り払われる。
「どういうつもりですか!玄弥を殺す気か!」
キッと実弥さんを警戒する炭治郎くん。
炭治郎くんがその辺の隊士より強いことは那田蜘蛛山の件で知っているけれど、柱が相手では流石に部が悪い。
内心ひやひやが止まらない。
けれど、私にはどうすることも出来ず、ただ様子を窺っている間も彼らの話は進んでいく。
「それは簡単だが、そんなことはしねェ。対立違反だしよォ」
そこまで言うと、トッと実弥さんが庭に降りた。
「再起不能にすんだよォ。ただしなァ、今すぐ鬼殺隊をやめるなら許してやる」
「ふざけんな!!」
そう叫んだ炭治郎くんの顔は怒りの感情でいっぱいだった。
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月見(プロフ) - 澪凪さん» 嬉しいコメントありがとうございます!お待たせしてばかりですが、更新頑張りますね!最後までどうぞお付き合い下さい(*^^*) (2021年7月29日 21時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
澪凪(プロフ) - やばいです好きぃぃぃぃぃぃぃっ!!頑張ってください、めっちゃ楽しみにしてます! (2021年7月29日 9時) (レス) id: 279a2ef6a9 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - みっちゃんさん» ありがとうございます!おっしゃる通り、すれ違いつつもこの辺りから少しずつ二人の距離が縮んでいく予定です(*^^*)のんびり更新ですが精一杯頑張るので、最後までよろしくお願いします! (2021年7月6日 21時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
みっちゃん(プロフ) - めっっっちゃめちゃ面白いですね…実弥さんと夢主さんがすれ違いながらも徐々に近付いていく感じがね!もう、ね!(*´・v・`)いつも更新、本当にお疲れ様です。これからも楽しみにしております!! (2021年7月6日 10時) (レス) id: b998dfb0fd (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 衣世さん» コメントありがとうございます!小説版読んでいた時に、実弥さんとカナエさん…そうなのかな?と思ったので、「2」で一瞬カナエさんのこと書きましたが、ファンブックで確定したときは驚きました(*_*)まだその辺の下書きがとっ散らかっていますが、更新頑張りますね(^^) (2021年6月18日 17時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2021年6月18日 5時