逃走 ページ5
「イィィィヤァァァ！！！」
風柱邸には数日前からそんな悲鳴が響いていた。
善逸くんの声だ。
来たときは「Aさん！！今日からよろしくお願いします！！」だなんて、私の手を握ってぶんぶんと振りながら握手して目を輝かせていた彼。
「オイ、我妻ァ。なぁにAの手ェ握ってやがるゥ。………お前かよろしくするのは俺だァ」
稽古を付けて貰う実弥さんを差し置いて先に私に挨拶をしたものだから、実弥さんに目を付けられたらしい。
ギロリと善逸くんを睨み付ける彼は、容赦なく稽古で善逸くんを叩きのめした。
そして、遂に限界を向かえたらしい。
そろそろ岩柱様の訓練に向かおうと玄関で陽翔と陽葵に履き物を履かせていたとき、風柱邸の訓練を始めようとしていた実弥さんが善逸くんが居ないことに気が付いた。
「我妻はどこ行きやがったァ！」
「ぜんいつ、さっきへいのところにいたよ？すごくキョロキョロしてた！」
陽翔のそんな言葉に、私と実弥さんは顔を見合わせた。
“逃げた”
私たちの頭にその三文字が過る。
「私、探してきます」
「あ？何言ってやがる？お前は悲鳴嶼さんとこで自分の稽古があんだろォ」
「でも、それだと風柱邸にいる皆さんの稽古が…」
「打ち込みさせておけば問題ねェ。途中まで一緒に行くぞ」
「え？」と戸惑っているとさっと陽葵を抱き抱えた実弥さんにぐいっと手を引かれて屋敷を出る。
その後を着いて来た陽翔とも私は手を繋いだ。
実弥さんと並んで歩くのは浅草へ出掛けたとき以来だ。
あの時と変わらない温かくて大きな手。
こんなに近くにいる。
それなのに、彼の存在はどこか遠くに感じて胸が締め付けられた。
屋敷を出て１分たった頃、「逃がしてくれええ！」と叫ぶ聞き覚えのある声がした。
角を曲がると前方に人影が見えた。
陽葵を腕から降ろした実弥さんが、目付きを変えて飛び出すと、ガシッと彼の頭を掴む。
実弥さんが何かを告げると「ギャアアア！！！」と善逸くんの悲鳴が響いた。
「勘弁してぇぇぇ！」と一緒に居たらしい炭治郎くんに抱きついて騒ぐ彼。
実弥さんが善逸くんの首の後ろに一撃を入れた。
途端に大人しくなった善逸くん。
どうやら気を失ったらしい。
実弥さんが「運べ」と短く炭治郎くんに指示している。
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月見(プロフ) - 澪凪さん» 嬉しいコメントありがとうございます！お待たせしてばかりですが、更新頑張りますね！最後までどうぞお付き合い下さい(*^^*) (2021年7月29日 21時) (
レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
澪凪(プロフ) - やばいです好きぃぃぃぃぃぃぃっ！！頑張ってください、めっちゃ楽しみにしてます！ (2021年7月29日 9時) (レス) id: 279a2ef6a9 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - みっちゃんさん» ありがとうございます！おっしゃる通り、すれ違いつつもこの辺りから少しずつ二人の距離が縮んでいく予定です(*^^*)のんびり更新ですが精一杯頑張るので、最後までよろしくお願いします！ (2021年7月6日 21時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
みっちゃん(プロフ) - めっっっちゃめちゃ面白いですね…実弥さんと夢主さんがすれ違いながらも徐々に近付いていく感じがね！もう、ね！(*´･ｖ･｀)いつも更新、本当にお疲れ様です。これからも楽しみにしております！！ (2021年7月6日 10時) (レス) id: b998dfb0fd (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 衣世さん» コメントありがとうございます！小説版読んでいた時に、実弥さんとカナエさん…そうなのかな？と思ったので、「2」で一瞬カナエさんのこと書きましたが、ファンブックで確定したときは驚きました(*_*)まだその辺の下書きがとっ散らかっていますが、更新頑張りますね(^^) (2021年6月18日 17時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月見 | 作成日時：2021年6月18日 5時
