不機嫌 ページ24
「A、笑うとこじゃねェ」
「だって………」
強面な柱が実は甘いおはぎ好き、という一面を一般隊士に暴かれるなんて………
可愛い。
あまりにも可愛い。
「不死川は…おはぎが好きなのか…」
冨岡さんが呟くと炭治郎くんが嬉々とした表情で話し始める。
「美味しいですよね!おはぎ。こしあんですか?つぶあんですか?」
「私はつぶあんです」
こしあん派か、つぶあん派か。
そんな会話に私もひょっこり参加する。
「俺は…」と、冨岡さんが話し出そうとしたところで炭治郎くんが被せて口を開く。
「俺もおばあちゃんのおはぎが大好きで………」
話が止まりそうもない。
炭治郎くんも甘いものが好きなのだろうか。
今度しのぶさんや蜜璃さんとお茶会することがあれば誘ってみよう。
炭治郎くんのお陰で実弥さんと色々あったことも忘れて、呑気に考えていると実弥さんの拳が炭治郎くんの顔面を捉えた。
ボギャ!といい音がして、拳が入り込んだことがよく分かる。
殴られた勢いのまま地面に倒れこんだ炭治郎くん。
けれど起き上がる様子もなく、小さく呻いて倒れたままだ。
「ちょっ、実弥さんっ!?」
突然のことに驚いていると、実弥さんに手を握られてぐいっと引っ張られる。
「わっ!」と声を上げて、彼に引かれた反動で体が前のめりになったところを受け止められた。
実弥さんの胸に顔から飛び込む形でとんっと、彼の鍛えられた胸板に顔がぶつかる。
ふわっと彼の香りに包まれて、頬に熱が集まった。
「チッ!………ったく……A、もう行くぞォ」
「えっ?」
体勢を立て直して、彼の顔を見上げる。
よく分からないけれど、舌打ちが聞こえた。
また機嫌が悪くなった?
おはぎ好きがばれたこと、そんなに嫌だったのかな?
実弥さんは冨岡さんと水と油みたいに仲が悪いようだけれど、炭治郎くんともそうらしい。
だとしたら、さっき笑ってしまったのは不味かった?
すたすたと歩き出す実弥さんに手を引かれて駆け足になる。
「待て、不死川」
後ろから冨岡さんの声がしたけれど、実弥さんは振り替える様子も返事をする様子もない。
「と、冨岡さん!ありがとうございました!!」
私は実弥さんの代わりに、ぺこっと頭を下げて慌ててお礼を告げる。
冨岡さんは見えなくなるまで私たちを見ていた。
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月見(プロフ) - 澪凪さん» 嬉しいコメントありがとうございます!お待たせしてばかりですが、更新頑張りますね!最後までどうぞお付き合い下さい(*^^*) (2021年7月29日 21時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
澪凪(プロフ) - やばいです好きぃぃぃぃぃぃぃっ!!頑張ってください、めっちゃ楽しみにしてます! (2021年7月29日 9時) (レス) id: 279a2ef6a9 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - みっちゃんさん» ありがとうございます!おっしゃる通り、すれ違いつつもこの辺りから少しずつ二人の距離が縮んでいく予定です(*^^*)のんびり更新ですが精一杯頑張るので、最後までよろしくお願いします! (2021年7月6日 21時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
みっちゃん(プロフ) - めっっっちゃめちゃ面白いですね…実弥さんと夢主さんがすれ違いながらも徐々に近付いていく感じがね!もう、ね!(*´・v・`)いつも更新、本当にお疲れ様です。これからも楽しみにしております!! (2021年7月6日 10時) (レス) id: b998dfb0fd (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 衣世さん» コメントありがとうございます!小説版読んでいた時に、実弥さんとカナエさん…そうなのかな?と思ったので、「2」で一瞬カナエさんのこと書きましたが、ファンブックで確定したときは驚きました(*_*)まだその辺の下書きがとっ散らかっていますが、更新頑張りますね(^^) (2021年6月18日 17時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2021年6月18日 5時