家族ごっこ始めました 5【不死川実弥】

何がなんでも ページ20

数日後。

私は漸く全ての柱稽古を終えた。

正確には後から柱稽古に参加した冨岡さんの稽古はまだだなのだけれど、「行く必要はねェ、と言うか行くな」という実弥さんの一言により無くなった。

それと同時に炭治郎くんとの稽古も終わりにした。


理由としては一通りの型が出来るようになったことと、やり始めたばかりの技を極めるには時間があまりないこと。

そして、これ以上は炭治郎くんの稽古の邪魔になると判断したからだった。


実弥さんとは、少し気まずくなったけれど、あれからは何時も通り会話もするようになった。


結局、どうして私に痣の事を隠していたのかについては上手いことはぐらかされたまま。

あと、どうして私に接吻するのかという質問についても同様だった。


何だかんだ、尋ねた傍からあんな風に口付けされるとは…………


思い出しただけで、顔から火が出そうになって、振り払うようにブンブンと頭を横に振る。


私、もしかして実弥さんに振り回されてる？


一人頭の中で考えても答えは出てこない。

それにしても、無惨との戦いが終ったら話したいこととは何だろう？


私は、無惨との戦いを生き延びられるだろうか………


そんな不安が頭をよぎるけれど、私には陽翔や陽葵がいる。

実家で暮らしている家族だって、心配してくれている。


実弥さんの話を聞くためにも、何がなんでも生きて、そして勝って帰らなければ。


日に日にそんな思いが強くなっていった。

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