岩柱邸 ページ2
「陽翔、陽葵、準備できた?」
朝餉の片付けを終えて、寝室代わりに使用している実弥さんの部屋を覗くと、実弥さんの手で着替え終わった二人の姿があった。
「うん!出来たよ!早く行こう?」
「お出かけー!!」
二人は朝からご機嫌だ。
今日から陽翔と陽葵は毎朝、岩柱邸へ稽古に向かう私と共に出掛けて、蝶屋敷で預かって貰うことになっていた。
無惨との戦いが近くなればなるほど、いつでも戦闘に向かえるように、この子たちを風柱邸に置いていく訳には行かないのだ。
だから、今日から少しずつ蝶屋敷に慣れてもらおうという考えだった。
最初は、しのぶさんは毎日何処かへ出ていてお忙しいみたいだったし、カナヲちゃんも稽古があるので気が引けた。
けれど、アオイちゃんやきよちゃんたちが
「禰豆子さんも今はこちらで預かっているので、一人や二人増えるぐらい大したことありません」と、快く引き受けてくれたのだ。
とても有難い。
候補としては奥さんが三人いる宇髄さんのお屋敷も上がっていたが、あちらもまだ隊士を面倒みているので、負担が大きいと判断してやめた。
「A、気ィ付けてな」
「…はい」
かけられる優しい言葉が今はとても辛く感じる。
何時も通りを装おって「行ってきます」と告げると三人揃って屋敷を後にした。
*****
「南無。良く来た」
「お、お久しぶり、です…」
陽翔たちを蝶屋敷へ預けた後、岩柱邸へ続く山を登った私。
到着すると炎の中で石の重りをくくりつけ、丸太を担いだ岩柱様がいた。
ま、まさか、これが岩柱邸での稽古…!?
ぞっとしたけれど「下から火で炙るのは危険な為、無しとする…」と言われてほっとした。
けれど、岩柱邸の稽古はそれはそれは過酷なもので。
滝に打たれる修行から始まり、次に大きな丸太を三本担ぐ修行、最後に大きな岩を押して運ぶ修行の三つだった。
女性は着替えるように。とのことで、稽古着を渡される。
滝に打たれるなんて初めてだったのだけれど、これが大変だった。
まず、川の水がとても冷たい。
冷たすぎた。
冷たすぎて片足を水に浸けた瞬間、直ぐ足を引っ込めて「ひぇっ!」と変な声を出してしまった程だ。
どうにかこうにか川の水に慣れるのに一時間近く費やしてしまった。
この状態で約二時間も滝に打たれる………
考えただけで恐ろしいけれど、そうも言っていられない。
私は大量の水が打ち付ける滝へ足を進めると、修行を始めていた隊士たちの隣に並んだ。
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月見(プロフ) - 澪凪さん» 嬉しいコメントありがとうございます!お待たせしてばかりですが、更新頑張りますね!最後までどうぞお付き合い下さい(*^^*) (2021年7月29日 21時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
澪凪(プロフ) - やばいです好きぃぃぃぃぃぃぃっ!!頑張ってください、めっちゃ楽しみにしてます! (2021年7月29日 9時) (レス) id: 279a2ef6a9 (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - みっちゃんさん» ありがとうございます!おっしゃる通り、すれ違いつつもこの辺りから少しずつ二人の距離が縮んでいく予定です(*^^*)のんびり更新ですが精一杯頑張るので、最後までよろしくお願いします! (2021年7月6日 21時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
みっちゃん(プロフ) - めっっっちゃめちゃ面白いですね…実弥さんと夢主さんがすれ違いながらも徐々に近付いていく感じがね!もう、ね!(*´・v・`)いつも更新、本当にお疲れ様です。これからも楽しみにしております!! (2021年7月6日 10時) (レス) id: b998dfb0fd (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - 衣世さん» コメントありがとうございます!小説版読んでいた時に、実弥さんとカナエさん…そうなのかな?と思ったので、「2」で一瞬カナエさんのこと書きましたが、ファンブックで確定したときは驚きました(*_*)まだその辺の下書きがとっ散らかっていますが、更新頑張りますね(^^) (2021年6月18日 17時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2021年6月18日 5時