二人の助っ人 ページ49
その日の夜。
実弥さんがお館様に鴉を飛ばしてくれたお陰で隊士を二人借りることが出来た。
風柱邸にやって来た吉岡さんと野口さんの二人は、最初とても緊張している様子でがちがちだった。
柱の屋敷だから、無理もない。
慣れてもらおうとお茶とお茶菓子を出してお喋りをしたら、少し緊張が解けたのか柔らかい表情を見せてくれるようになった。
けれど、やはり実弥さんのことは怖いのか、彼がやってくるとピシリとその表情が固まる。
その後はいつの間にか不機嫌になっていた実弥さんに「本番前に稽古だァ！二人同時にかかってこい！村田ァ！お前も来い！！」
と、実弥さんによる急遽稽古が始まった。
肝心な時にバテられても困るので手加減するように言ったけれど、いつも通りの実弥さんの厳しい稽古だったから私は内心焦った。
昼間、隠の方が手伝ってくれたお陰で夜になる頃には庭は勿論、屋敷の中も元通りになっていた。
私は安静にするよう言われているので、布団に入って陽翔と陽葵を寝かし付ける。
念のため、何かあった時のために何時ものように枕元には日輪刀を置いている。
昨夜のことが気になって昼間に刀を抜いてみたけれど、そこにはいつも通り黒い色をした刀があった。
………赤く見えたのは気のせいだろう。
昨日の鬼は「恐らく下弦ノ鬼に近い力を持っていたのだろう」と実弥さんは言っていた。
下弦ノ伍と戦った時より楽だった事を伝えると、それはあの頃より私が強くなったからだと言われた。
そこで久しぶりに階級を確認してみると、いつの間にか丙に上がっていた。
それでも怪我をしてしまったのは情けない。
けれど、しのぶさんにもらった貼り薬や塗り薬は良く効くのでこの調子なら二、三日で良くなりそうだ。
実際、鬼に叩かれて腫れていた頬も夜には引いてきていた。
横になっていたらいつの間にか、うとうとしていたらしい。
鬼の気配に目が覚めて体を起こす。
突然の事にも対応出来るように刀を手元に寄せて障子をうっすらと開けると、外の様子を窺った。
昨日と同じ様に実弥さんは予め周囲を警戒しているので、近くにいない。
吉岡さんも実弥さんとは逆の方角を警戒して、屋敷からは離れたところで待機してくれている。
屋敷は野口さんと村田さんが守ってくれていた。
何も出来ないのが申し訳ない。
明日の夕餉はみんなの好きなものを作ろうかな？
私たちのために戦ってくれている四人に感謝の気持ちで一杯の私はそんなことを考えた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 353人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月見(プロフ) - 京華さん» 初めまして。とても嬉しいコメントありがとうございます！楽しんでもらえるようにこれからも頑張ります！のんびり更新ですが、よろしくお願いします(*^^*) (2021年4月22日 20時) (
レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - 初めまして。コメント失礼致します。月見さんの描く実弥さんが格好良過ぎて大好きです！更新嬉しかったです！今後も楽しみにしています♪ (2021年4月22日 19時) (レス) id: 483ff1bb3b (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - さねみん推し(だが渋い槇寿郎も好き)さん» 変換ミスしたまま気が付かず更新していたみたいです。修正しました！ありがとうございます(^^) (2021年4月16日 13時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
さねみん推し(だが渋い槇寿郎も好き) - すいません、26ページ無断の所、炭治郎が千寿郎くんに頭突きの事を謝るところの(お義父さん)は千寿郎くんと槇寿郎さんは実の親子なので(義)は付けなくていいんじゃないかなと(^_^;) (2021年4月16日 8時) (レス) id: c50ca7ded5 (このIDを非表示/違反報告)
星奈 - こんな初見野郎でもコメント返してくれてありがとうございます！(*´ω｀*) (2021年4月9日 22時) (レス) id: a759e2d602 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：月見 | 作成日時：2021年3月8日 17時
