安静に ページ48
「診た限り脳に異常はなさそうですし、傷も大したことはありません。立ち眩みも頭痛も熱も一時的なものでしょうから大丈夫です。あ、でも暫く安静にして任務は控えてくださいね」
朝餉の後、実弥と共に蝶屋敷に向かった私はしのぶさんの診察を受けた。
彼女の言葉にほっとする。
「それにしても不死川さんが付き添いに来るなんて、よっぽどAさんが心配なんですね」
にやにやとしのぶさんが私を見て含み笑いを見せる。
「一人で行けますって、何度も言ったんですけど…」
廊下で待っている彼を思い浮かべて苦笑いする。
「この調子でご自分が怪我したときも来てくれると嬉しいんですけどね」
帰り際、しのぶさんはそう言って笑っていた。
*****
「ただいま」
屋敷に帰ってきた私たち。
私の声を聞き付けて陽翔と陽葵が駆け出してきた。
「A!さねみ!おかえりー」
抱き付いてきた二人の頭を撫でる。
「風柱様、Aさんお帰りなさい」
「村田さん、お留守番ありがとうございます」
「いえ、俺は何も……ただ、少し前に隠が来て早速庭を戻してます!」
ピシッと姿勢を正した村田さんが言えば、実弥さんが履き物を脱ぎながら返事する。
「そうかィ」
「では、私たちも屋敷の中の掃除をしないとですね」
私も履き物を脱いで屋敷に上がる。
何せ土足であちこち動き回ったから、畳も汚してしまっているのだ。
「あァ。部屋ン中で壊れた場所も隠に直してもらわねェとなァ」
「そうですね。時間がかかりそうなので、隠の方の分も昼餉を用意しますね」
「A、それは隠に手伝ってもらえ。あと何かあればすぐ言えよォ」
「え?…は、はい?」
何かとは何だろう?と不思議に思いながら返事をする。
「分かってるよなァ?安静にしてろって胡蝶に言われただろ。Aは目ェ離すとすぐ一人で無茶するからなァ」
「わ、分かってますよ!」
何だか私が世話のかかる子どもみたいに思えて、少しむきになる。
私と実弥さんの言い合いを聞いていた村田さんが遠慮がちに尋ねてきた。
「あのぉ、それで今晩は風柱様と俺の二人ですか?………その、流石に昨日と同じ数が来ると……」
言われてみればそうだ。
「新しく何名か呼ばないといけませんね」
「あァ」
実弥さんが頷くと村田さんがほっとした表情をみせた。
昨日と同じ数が来る事を想定すると、出来れば二人いてくれるとありがたい。
そんなことを思いながら、玄関を後にすると私は台所へ向かった。
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月見(プロフ) - 京華さん» 初めまして。とても嬉しいコメントありがとうございます!楽しんでもらえるようにこれからも頑張ります!のんびり更新ですが、よろしくお願いします(*^^*) (2021年4月22日 20時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - 初めまして。コメント失礼致します。月見さんの描く実弥さんが格好良過ぎて大好きです!更新嬉しかったです!今後も楽しみにしています♪ (2021年4月22日 19時) (レス) id: 483ff1bb3b (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - さねみん推し(だが渋い槇寿郎も好き)さん» 変換ミスしたまま気が付かず更新していたみたいです。修正しました!ありがとうございます(^^) (2021年4月16日 13時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
さねみん推し(だが渋い槇寿郎も好き) - すいません、26ページ無断の所、炭治郎が千寿郎くんに頭突きの事を謝るところの(お義父さん)は千寿郎くんと槇寿郎さんは実の親子なので(義)は付けなくていいんじゃないかなと(^_^;) (2021年4月16日 8時) (レス) id: c50ca7ded5 (このIDを非表示/違反報告)
星奈 - こんな初見野郎でもコメント返してくれてありがとうございます!(*´ω`*) (2021年4月9日 22時) (レス) id: a759e2d602 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2021年3月8日 17時