来客 ページ21
「A、お前ちゃんと眠れたのかァ?」
翌朝、物音で目が覚めた私。
帰って来た実弥さんを出迎えに玄関に向かうとそんな事を聞かれた。
「………。えっと、はい。朝方にちゃんと眠りましたよ?」
「つまりは、寝不足かァ」
「…。」
何で分かったんだろう………
何も言い返せなくて黙っていると、いつの間にか、彼の手が私の頬に触れていた。
その仕草に実家に泊まった日の出来事が頭を過って、触れられたところが熱くなる。
固まったまま動けなくなっていると親指で目の下を撫でられた。
「…!」
「仕方ねェ。お前ももう一眠りしろ。朝飯も鍛練もそれからだァ」
「は、はい」
すっと私から手を離した実弥さんは、そのまますたすたと歩いて廊下の奥へと消えていった。
き、緊張した………!
鍛練は容赦ないくせに、こうやって優しくされるとどきどきしてしまう。
好きと自覚している上に、接吻までされてしまっているから余計だ。
実弥さんはどうして私に優しくするのだろう?
どうしてあの時、接吻したんだろう?
私のこと、どう思っているんだろう?
ぐるぐると考えても出てこない答えを私は頭の中で探していた。
*****
その日の昼。
珍しく風柱邸に来客があった。
「あーっ!れんごくのにーちゃんだ!」
庭で鍛練していると、縁側から陽翔のそんな声がして振り向く。
「元気そうだな!」なんて手を上げて煉獄さんが歩いてきていた。
そこに陽翔と陽葵が駆け寄っていく。
「煉獄、何しにきた」
「うむ。たくさん菓子を頂いたのでな!折角だから、子どもたちに持ってきた!」
お菓子と聞いて陽葵の目が輝いた。
「やったー!!」とぴょんぴょん跳ねて大喜びだ。
「わざわざありがとうございます」
鍛練の手を止めてぺこっと頭を下げる。
「用事のついでに寄ったまでだ!」
「実弥さん、折角ですから休憩にしましょう!お茶を淹れてきますね!」
「あァ」と言う返事を聞いて私は屋敷の中に戻った。
人数分のお茶を運んでくると陽翔が煉獄さんに肩車をしてもらっていた。
陽葵は彼の膝に座っている。
二人がせがんだのだろうけれど、柱に子守りをさせてしまうとは……凄く申し訳ない。
「煉獄さん、子どもたちがすみません」
「気にすることはない!子どもは元気が一番だ!」
そう言って楽しそうに笑って相手をしてくれている。
彼は意外と子ども好きのようだ。
お茶を配り終えた私は皆で煉獄さんが持ってきた芋羊羹に手を付けた。
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月見(プロフ) - 京華さん» 初めまして。とても嬉しいコメントありがとうございます!楽しんでもらえるようにこれからも頑張ります!のんびり更新ですが、よろしくお願いします(*^^*) (2021年4月22日 20時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - 初めまして。コメント失礼致します。月見さんの描く実弥さんが格好良過ぎて大好きです!更新嬉しかったです!今後も楽しみにしています♪ (2021年4月22日 19時) (レス) id: 483ff1bb3b (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - さねみん推し(だが渋い槇寿郎も好き)さん» 変換ミスしたまま気が付かず更新していたみたいです。修正しました!ありがとうございます(^^) (2021年4月16日 13時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
さねみん推し(だが渋い槇寿郎も好き) - すいません、26ページ無断の所、炭治郎が千寿郎くんに頭突きの事を謝るところの(お義父さん)は千寿郎くんと槇寿郎さんは実の親子なので(義)は付けなくていいんじゃないかなと(^_^;) (2021年4月16日 8時) (レス) id: c50ca7ded5 (このIDを非表示/違反報告)
星奈 - こんな初見野郎でもコメント返してくれてありがとうございます!(*´ω`*) (2021年4月9日 22時) (レス) id: a759e2d602 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2021年3月8日 17時