家族ごっこ始めました 3【不死川実弥】

稽古再開 ページ19

実家から帰って来てから数日が経過した。

相変わらず、蝶屋敷には訓練に通っていて、しのぶさんから全身訓練の許可も降りたので、カナヲちゃんやアオイちゃんと共に鬼ごっこみたいなことをしている。

最初の方は負けてしまったけれど、今は私がずっと勝っている。


やっぱり体が鈍った。

そう感じて風柱邸の庭で素振りをしていると、「おい！」という声と共に後ろから稽古着の首元をぐいっと引っ張られた。

「ぐぇっ！」と思わず声をあげる。


「何してやがる！」

振り向くと実弥さんが怖い顔で私を見ている。

「え？な、何って、鍛練です」

「鍛練です、じゃねェ！胡蝶の許可はあんのかァ！」

「はい。激しい打ち合いなどの稽古でなければ、寧ろそろそろ積極的に取り組むようにと言われました」

言うと彼が更に怒った表情で見てくる。

「それを早く言えェ！」

「すみませんっ！今日言われたので………」

申し訳なく思いながらちらっと見上げると、実弥さんが何かを考え込んで、それから、口角を上げてニヤリと笑った。


「なるほどなァ………。じゃあ今から素振り500回だ！それが終わったら、俺が手合わせしてやる」

「え……？いやいや、さね………じゃなくて、師範、私の話し聞いてました？」


「あァ」

「激しい打ち合い等の稽古は禁止なんですよ？」


師範と打ち合いなんてしたら、思いっきり“それ”に該当する。


「心配すんなァ。手加減してやる」

何故か楽しそうな師範が好戦的な目で私を見ていた。

「う…」と思わず一歩後ずさる。


今日から本格的に始まりそうな稽古の日々に、私は顔をひきつらせた。

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