気にしてない? ページ15
「眠れねェのかァ?」
私はどのくらいそうしていたのだろう。
後ろからそんな声がして振り向くと、実弥さんが布団から体を起こしていた。
「あ、はい。……すみません、起こしてしまいました?」
振り返って彼を見るとゆっくりとした動作でこちらに歩いてくる。
「たまたま目ェ覚めただけだァ…」
すとんと私の右隣に胡座をかいて座り込んだ。
直ぐ傍で子どもたちが眠っているとは言え、近い距離で実弥さんと二人きりというのは久しぶりで、どきどきと胸の鼓動が早くなる。
静かなのが耐えられなくて、何か話さなくてはと頭を回す。
「………今日は、着いてきてくださって、ありがとうございます」
「あァ」
「実弥さんが両親の前であんなことするなんて驚きました」
「あ…?」
不思議そうに私を見るから、慌てて付け足す。
「ほら、頭を下げましたよね?」
「あー、あれか。……気にすんなァ」
空を見上げて、がしがしと頭を掻く実弥さん。
照れているのかな?と思いながら私も空を見上げる。
雲一つない空に浮かぶ三日月の周りには星が輝いていた。
「実弥さんがあそこまで気にしてくださっていたなんて知りませんでした。………それと、私が蝶屋敷で眠っていたとき、毎日訪ねて下さっていたことも…」
言えば少しの間を置いて彼が尋ねてくる。
「………何で知ってんだ?」
「母から聞きました。“蝶屋敷の方が教えてくれた”と言っていたので、しのぶさんかアオイちゃん辺りから聞いたんだと思います」
「チッ、…アイツら余計なこと言いやがってェ」
「私は両親だけじゃなくて、実弥さんにも凄く心配を掛けてしまっていたんですね」
「………Aが怪我したのは、俺のせいでもあるからなァ」
「え?」
思わぬ返しに首を傾げる。
那田蜘蛛山でのことは実弥さんは何も関係ないのに、どうしてそんな事を?
「お前を傷付けて追い出したのは俺だ」
「………破門、のことですか?」
「それもあるけどよォ。もっとあるだろ…………」
その言葉に一つ思い出す。
怪我をしてから、すっかり忘れてしまっていた。
けれど、そうだ。
乱暴ではあったけれど、あの時、私………実弥さんと………
思わず手が口元に触れる。
かぁぁぁっと頬が熱くなっていくのが分かった。
「っ!……え、えぇっ、と!………も、もう、………き、気にしていませんからっ!!」
何とかそう答えるけれど、最後の方は早口になってしまって明らかに挙動不審だった。
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月見(プロフ) - 京華さん» 初めまして。とても嬉しいコメントありがとうございます!楽しんでもらえるようにこれからも頑張ります!のんびり更新ですが、よろしくお願いします(*^^*) (2021年4月22日 20時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - 初めまして。コメント失礼致します。月見さんの描く実弥さんが格好良過ぎて大好きです!更新嬉しかったです!今後も楽しみにしています♪ (2021年4月22日 19時) (レス) id: 483ff1bb3b (このIDを非表示/違反報告)
月見(プロフ) - さねみん推し(だが渋い槇寿郎も好き)さん» 変換ミスしたまま気が付かず更新していたみたいです。修正しました!ありがとうございます(^^) (2021年4月16日 13時) (レス) id: 3e917b4f85 (このIDを非表示/違反報告)
さねみん推し(だが渋い槇寿郎も好き) - すいません、26ページ無断の所、炭治郎が千寿郎くんに頭突きの事を謝るところの(お義父さん)は千寿郎くんと槇寿郎さんは実の親子なので(義)は付けなくていいんじゃないかなと(^_^;) (2021年4月16日 8時) (レス) id: c50ca7ded5 (このIDを非表示/違反報告)
星奈 - こんな初見野郎でもコメント返してくれてありがとうございます!(*´ω`*) (2021年4月9日 22時) (レス) id: a759e2d602 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2021年3月8日 17時