２ ： ○○ × ヤンデレ ＝

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そのおかげで一緒に昼休みの時間を過ごせるようになっているし…。


「そんな、お礼だなんて」

(…これは)
(少しずつ、でも着実に先輩の時間を侵食出来ている証拠かな)
(些細なことから、少しずつ…)
(こうして少しずつ、先輩の時間を、日常を、世界を、俺が侵食していけば…)

「俺の方こそ、いつも美味しそうに…しかも、残さず食べてもらえて…」
「凄く嬉しいです。ありがとうございます」

(食事も、時間も、)


ふわり笑みを向けると、先輩も微笑み返してくれる。


(いずれは)
(…人間関係をも管理できるようになって)
(先輩の全てを、俺が支配し、独り占め出来る……)
(誰にも邪魔されない空間が、ここに出来上がる)


その笑みは、何を語っているのだろう。
ただ単純に、どういたしまして?
もっと、他のものは入っていないのか?
俺の与えている、甘味に対しての何かは微塵にも入っていないのか?


「ふふ、これからも上達していきますね」
「おかずのレパートリーなども増やしたり…頑張らないと」


料理本でも買おうかな。
ぽつり呟くとあなたは、たまには自分が作るよと提案してくる。
彼女の顔には、いつも作ってもらってばかりじゃ悪いと書いてあって、分かりやすい人だなと思った。


「A先輩の手料理ですか…?」
「確かに、それは魅力的ですね…」

(…でも、)

「…でも、」

(それじゃあ駄目だ)
(自分でやるという選択肢を与えては、彼女は俺の与えるそれに溺れてはくれない)
(俺がいないと駄目になるためには、まず、自分で出来なくなってもらわないと)

「やっぱり、毎日俺に作らせてください」


えっ、
驚いたあなたが、改めて俺を見上げた。


「あっ、決してA先輩の作るご飯が食べたくないとかそういうわけじゃないんです」
「……ただ、」
「先輩にお弁当作ってくることが…」
「いや、それ以外にも」

「あなたを起こすためにする朝の電話とか、登下校の送迎、移動教室の時の準備、」
「昼食を食べるところの場所取り、午前の授業で疲れたあなたを癒すために、午後の授業を頑張れるようにやっていること…各休み時間にあなたの体調が崩れていないかの確認など」
「全て、あなたのために動くことが俺の生きがいなんです」
「俺がここにいる理由なんです」


腰をかがめて、目線を合わせる。
顔の距離が縮まって、あなたは半歩ほど後ずさった。
先ほどとは違う空気に戸惑った様子を見せたまま、あなたは俺を見つめる。

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