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縋るようにオレを見ていた瞳が、瞬きひとつで純粋に疑問を抱いた瞳に変わる。


「…どうしてそんなに驚くんだよ」
「そういえば…今まで言ったことなかったか?」


頷く姿を見て、胸の中に安堵感が広がる。


(今、何のためらいもなく、素直に頷いた)


ここ最近、ずっと怖がられたり嫌がられたりが多かったせいか、素直なその行動に胸が高鳴った。


(ほんの少しでも抵抗がなくなってきたのは、大きな一歩か)

「……ずっと思ってた。お前のこと、可愛いって」


恥ずかしくて言えなかった言葉が、すらすら出てくる。
それは、この、甘すぎる空間のせいだろうか。
オレを見上げるその瞳を見つめていると、たまらなく愛おしさが湧いてくる。


「…オレだけのものになったら」
「オレの色で染めることが出来たら、どれだけ可愛くなるんだろう」
「…なんてことも考えてた」
「……昔から、ずっとな」


幼い頃から隠してしまっていた好意が、止まることを知らないように口から零れ出る。
驚きを隠せていないお前は、信じられないと言った様子でオレを見つめていた。


「……ほんと、可愛いよ」

「…でも、」

「まだ足りない」
「まだ、完全にオレ好みの色に染められていない」
「まだ、オレの求めている理想になっていない」

「お前にとって、オレという存在が絶対で、世界の全てでないといけない」
「オレに愛されるためだけの、オレを愛するためだけのAがここにいなきゃいけないんだ」

「…大丈夫だ、オレがちゃーんと可愛いお前を作っていってやる」

「それに、」
「…いい子のお前なら、自分でそうなるよう努力できるよな?」


頷くことを強要するように、少し声を低くして、彼女の頬を撫でながら問う。
微かに体を震わせたお前は、オレの思った通りちゃんと頷いた。


「…そうしてオレの理想になったら、ちゃんと外に出してやる」
「その頃のお前は、オレから離れることも逃げることも、他の人間によそ見だってしないだろうからな」


彼女に手を縛る鎖を撫でる。
温かな彼女の肌とは違い、それは酷く冷たかった。


「…そんなお前を想像しただけで、ドキドキする…っ」


小さくか細い、今にも途切れてしまいそうな声で、彼女がオレの名前を呼んだ。
それの意味は分からない。
助けでも乞うたのか、不安を紛らわすためか、オレを求めてくれたのか。
分からないけれど、


「…っ」


その声にこたえるように、震える唇にキスをした。

ヘタレ×幼馴染×神格化=→←〃



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林檎麻(プロフ) - お久しぶりです...!!リクエスト受け取ってくれてありがとうございます..!!とっても満足しました!! (2017年11月7日 23時) (レス) id: 5f64ee0b75 (このIDを非表示/違反報告)
不雲綺(プロフ) - ミユティさん» こちらこそありがとうございました!これからも彼に振り回されてやってください(笑 (2017年11月6日 22時) (レス) id: ccdc96260d (このIDを非表示/違反報告)
ミユティ(プロフ) - 久々の小見川くん、とても良かったです!!!!!良く考えたら小見川君のリクエストはこれで二回目ですね笑リクエストに答えて下さり本当にありがとうございます! (2017年11月6日 21時) (レス) id: ffac928163 (このIDを非表示/違反報告)
ももか(プロフ) - 不雲綺さん» そうだったんですか、全然大丈夫です!これからも更新頑張ってくださいね (2017年11月3日 22時) (レス) id: fd489c71d0 (このIDを非表示/違反報告)
不雲綺(プロフ) - ももかさん» 申し訳ありません。この作品は今リクエストいただいてるものを書き終えたら更新を一時停止する予定でして…リクエストは受け付けておりません。説明文にリクエスト中止と表記しておらず、申し訳ありませんでした。 (2017年11月2日 18時) (レス) id: d72d593e93 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:不雲綺 | 作成日時:2017年8月29日 17時

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