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好きな子が、違う人と歩いている。
…それに対して、もやもやした感情を抱くのはおかしくないのだろう。
だけど、何か違う。
嫉妬とは違う。
今見える光景を、脳が受け入れない。
この光景の全てが間違っているように感じる。


(…どうして君は、その人の隣にいるんだ…???)


頭の中で、隣で俺を見上げる君と今見えている君の小さな背中が何度も繰り返し交互に映し出される。
がんがんと、鈍器で殴られているような痛みが脳内を襲う。


(いや、なにもおかしくない)
(これが普通。これが当たり前)
(俺はあの子と同じクラス。ただのクラスメイト。それだけ)
(そこから一歩も進んでいない)

(だけど、)
(あれ、)
(じゃあ、)

(彼女と出掛けた記憶があるのはなんでだ…?)

(彼女が俺を見上げ、俺の名を呼び、俺の隣にいる光景が記憶にあるのは、)
(…なんでだ…???)


誰かが俺に話しかけてきた。
女子の声だけど、あの子じゃない。
俺を王子だとか言って、黄色い声を上げる女子の声だ。
それを聞いて、同じように王子と呼んでからかってくる男子の声も聞こえた。
けど、いつものように明るくない。


「だいじょうぶ…」
「…大丈夫。少し頭が、痛くて」


皆、心配をしている声だった。
だって俺は、王子で、優等生で、この学園に必要な存在だから。
皆に憧れ、好かれ、信頼される、存在だから。
ちょっとのことで、こんな風に心配されてしまう。


(?????)
(…俺は、そんなんだっけ…??)


うるさい。
耳にこびり付く声が、雑音となって頭に響く。
逃げなきゃ。
雑音が大きくなっていくほど、その気持ちが膨らんでいく。

眩暈がした。

手で目元を抑える。
指の隙間から見える俺の隣。
やっぱり、そこに君はいない。

“いつも”あるはずの、君の姿が、ない。


(あれ、)
(なんで、君が、ここに、)
(俺の隣にいないの????)

(俺の、)
(、彼女なのに)



…グチャリ。

何かが切れて、壊れて、潰れた。



(…ああ、そうだ、思い出した)
(4回目の、デートのときか)

(Aちゃんが、素の俺が一番だと言ってくれたのは)

〃→←〃



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林檎麻(プロフ) - お久しぶりです...!!リクエスト受け取ってくれてありがとうございます..!!とっても満足しました!! (2017年11月7日 23時) (レス) id: 5f64ee0b75 (このIDを非表示/違反報告)
不雲綺(プロフ) - ミユティさん» こちらこそありがとうございました!これからも彼に振り回されてやってください(笑 (2017年11月6日 22時) (レス) id: ccdc96260d (このIDを非表示/違反報告)
ミユティ(プロフ) - 久々の小見川くん、とても良かったです!!!!!良く考えたら小見川君のリクエストはこれで二回目ですね笑リクエストに答えて下さり本当にありがとうございます! (2017年11月6日 21時) (レス) id: ffac928163 (このIDを非表示/違反報告)
ももか(プロフ) - 不雲綺さん» そうだったんですか、全然大丈夫です!これからも更新頑張ってくださいね (2017年11月3日 22時) (レス) id: fd489c71d0 (このIDを非表示/違反報告)
不雲綺(プロフ) - ももかさん» 申し訳ありません。この作品は今リクエストいただいてるものを書き終えたら更新を一時停止する予定でして…リクエストは受け付けておりません。説明文にリクエスト中止と表記しておらず、申し訳ありませんでした。 (2017年11月2日 18時) (レス) id: d72d593e93 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:不雲綺 | 作成日時:2017年8月29日 17時

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