〃 ページ28
「髪の毛を梳かすように、優しい手つきでそっと触れて…」
僕のお願い通り、君は頭を撫でる。
わずかに感じていた眠気が、それによって大きく膨らんだ。
何度か瞬きを繰り返し、寝ないようにと眠気を掃う。
「あぁ…幸せ」
「僕の腕の中に君を閉じ込めてしまうのもいいけどさ」
「こうして、君の愛情と体温に包まれるのも、いいね」
「…………ずっと、この時間が続けばいいのに」
心の底から思うことだった。
君は決して同意することなく、ただただ僕の頭を撫でるだけ。
「君がいないあの時間、死んだ方がマシだと思うほどに苦しいんだ」
「君がこの部屋を出て行ってしまうあの瞬間、言葉では表せないほどの恐怖に襲われる」
今日もきっと、それを感じるのだろう。
彼女の瞳が、暗く、けれど綺麗に深い色を彩りながら、僕を見下ろした。
その瞳に、いっそのこと吸い込まれてしまいたいと思う。
「…」
「君が僕の傍から離れていってしまうようで…」
その声は、少しだけ震えていた。
「僕の部屋から出たその足で、君は何処に向かうの?」
「家に帰ると言って、本当は違う場所へ行こうとしているんじゃないの?」
「また明日なんて言って、本当に明日来てくれるの?」
「部屋を出た瞬間、君の視界から僕が消えた瞬間、僕の声が届かなくなった瞬間、僕が触れなくなった瞬間、君の中から僕が消えてしまうんじゃないか」
「そのまま忘れ去られ、このまま、もう会えなくなるんじゃないか」
僕の頭を撫でる彼女の手に触れ、握る。
撫でることをやめた手は、弱い力で僕の指先を握り返した。
そこから感じる体温は温かいけれど、でも、微かで、安心できない。
それどころか、今にも離れてしまいそうなだけに、もっと、もっともっともっともっととその体温を心が求めてしまう。
「…」
「ねえ」
握っていない方の手で、彼女の頭に手を伸ばす。
後頭部に触れ、顔をこちらに寄せる。
一瞬だけ顔を近づけることに抵抗した彼女だったけれど、すぐに僕の手の力にすべてを預け、ゆっくりと顔を近づけた。
彼女の髪が僕の顔にかかり、それが部屋の光景を遮って、僕の視界に映るのは彼女だけとなった。
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林檎麻(プロフ) - お久しぶりです...!!リクエスト受け取ってくれてありがとうございます..!!とっても満足しました!! (2017年11月7日 23時) (
レス) id: 5f64ee0b75 (このIDを非表示/違反報告)
不雲綺(プロフ) - ミユティさん» こちらこそありがとうございました！これからも彼に振り回されてやってください(笑 (2017年11月6日 22時) (レス) id: ccdc96260d (このIDを非表示/違反報告)
ミユティ(プロフ) - 久々の小見川くん、とても良かったです!!!!!良く考えたら小見川君のリクエストはこれで二回目ですね笑リクエストに答えて下さり本当にありがとうございます！ (2017年11月6日 21時) (レス) id: ffac928163 (このIDを非表示/違反報告)
ももか(プロフ) - 不雲綺さん» そうだったんですか、全然大丈夫です！これからも更新頑張ってくださいね (2017年11月3日 22時) (レス) id: fd489c71d0 (このIDを非表示/違反報告)
不雲綺(プロフ) - ももかさん» 申し訳ありません。この作品は今リクエストいただいてるものを書き終えたら更新を一時停止する予定でして…リクエストは受け付けておりません。説明文にリクエスト中止と表記しておらず、申し訳ありませんでした。 (2017年11月2日 18時) (レス) id: d72d593e93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：不雲綺
| 作成日時：2017年8月29日 17時
