[短編集]＿一日一笑顔...弐...＿[曇天に笑う]

安倍―…男勝りがデレる方法((ブルーベリー様リク) ページ8

「可愛い声を出してみろ」


「あ?・・・ぅげっ」



ワザと低い声を出す。


振り返ると、そこには鬼隊長さんがいらした。



「うげ、とはなんだ。どういう意味だ」


「いーえ何でも」


「逃げるな」



ぅ、捕まった。


蒼世さんの隣に移動して渋々話を聞く。



「何の用ですか」


「その嫌そうな顔をやめないか」


「嫌ですもん、帰してくださいよー」



未だに捕まれた腕は離されない


・・・この人はなにかと俺にかかわろうとする・・・。



「断る」


「何のようなんですか本当、俺を捕まえて楽しいんですかー」


「貴様は女だろう」


「そうですけど、何か」



もう、またその話だ。



「説教ですか」


「説教とは人聞きの悪い話だな」


「俺には説教にしか聞こえませーん」



そう言って、頭の後ろで手を組み壁にもたれる。


本当は、隊長だって「私」って言ってるじゃないですか


と言いたいところだけど、この人の場合は礼儀とかが含まれているんだろう。


・・・俺の場合、ただの癖っていうか性格だからなぁ



「何度も言うが、自分の事を私と言え」


「イヤです」


「乱暴な言葉はまだ見逃してやろう。まずは一人称からだ」


「まだって・・・いつか指摘されるってことですよね」


「佐々木を見習え」


「・・・」



むぐぐ、と口を閉じる。


また佐々木さん。


そりゃ、幼馴染みたいなものだとは聞いたけど


なんでも佐々木さんを出せばいいって訳じゃあねえんすよ



「どうした」


「どうもしません、説教長いなと」


「短いだろう」


「俺はこの口調止めません」


「何故だ」


「さーあ」



壁から離れて、女の子っぽく?くるっと回り



「理由がございますので」



悪戯っぽい笑みを見せた。



「理由・・・?」


「隊長さんは知らなくって結構」


「な・・・おい、何処に行く」



理由なんて単純。


この口調でいれば、貴方は俺に構ってくれるでしょう。


佐々木さんの名前が出て、嫉妬することもあるかもしれませんが。


・・・貴方が注意をやめるまで、俺もこの口調止めません。



「A」



ぐい、と腕を引っ張られ


蒼世さんの胸にすっぽりおさまった



「・・・な、なんですか」



恐る恐る、蒼世さんを見ると軽く


本当に軽く


ちゅ、とキスをされた。



「ぅう・・・っ!!?」


「女らしい声、出たではないか」



・・・これは卑怯だろう。


そう思いつつ、蒼世さんを蹴った。

武田―…我儘彼((すみっこ様リク)→←〃(天火視点)

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