[短編集]＿一日一笑顔...弐...＿[曇天に笑う]

〃 ページ45

「そねぇな事より、早ぅ帰れ」


「え・・・っ」


「もう十分じゃろう」



混乱を顔に出すAの背中を強引に押し


街へ出す



「まっ」



僕が背中を向けたとき、後ろから大きな声が



「また会いに来ますから!!!」



・・・阿呆じゃねぇ


どうせまた忘れよるんじゃ


僕はこんなにも君を思っちょるのに


君は簡単に僕を忘れる


常に見ていた君の笑顔は、何処に行きよったんじゃろうか


人を殺した時より、重い罪に感じる



『直人さん!!!魚こんなに取れました!!』


『まっ、待ってくださ・・・っ』


『直人さん怪我してます!!手当てするのでジッとしててください!!』


『あれほど注意したのに・・・！』



君の喜んじょる声


泣きそうな声


心配しちょる声


僕をしかっちょる声


・・・どれも消えてしもたねぇ



『直人さん!!!!』



絶叫に近い叫び声


必死な顔


・・・どれもまだ色鮮やかじゃ


ああ、あの後どうなったんじゃ


思い出せんのぅ


・・・思い出したくないのぅ


血塗れの君


人に囲まれて病院へと行く君


・・・毎日のようにここに来る君


・・・ここから動こうとしない僕


大きな欠伸をして、木にもたれる



「・・・」



隣を見ても、君はもういない


僕の知っちょる君はドコにも居ない



次の日



君はまたここに迷い込む



「あ・・・っ」


「・・・」


「えと・・・は、初めま、して・・・良かった。ここ、何処ですか」



ぎこちない笑顔で。



「ここは君の来るところじゃないっちゃ」



いつまで君は縛られるんかねぇ



『私は直人さんのお傍にいますから!!!』



有言実行。


記憶もないのに大変じゃ。



『私は貴方を忘れません!!!』



また僕も、いつまで君に縛られるんじゃろうか

―――

寝ると記憶がリセットされる病気の主人公と

主人公に病気を負わせたことに罪悪感を感じ、事故があった場所、主人公が来る場所に止まる嘉神。

白子―…足りない((プピーナ様リク)→←嘉神―…記憶(悲恋)((らむしゃん様リク)

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