[短編集]＿一日一笑顔...弐...＿[曇天に笑う]

武田―…心配性((ねこきち様リク) ページ43

「ご、ごめ・・・っ」



目の前には、割れた茶碗。


何も無い所でつまずき、転んだ結果である



「おっまえは・・・!!」



あぁ、武田の怒る声が飛んでくる。


そう確信した瞬間


案の定怒りの声



「なんでそうドジなんだよ!!前から言ってるだろ、何事も慎重にって!!!何も無い所で転ぶ方が難しいだろ!!!」


「え、えぇ・・・こ、転んじゃうのはしょうがないじゃんか!!」


「本当お前には慎重さが足りねえ!!!常にぼうっとしてんじゃないのか!?」



こんな大声で怒られたら私だって怯えるからな！



「ぼうっとしてない!!前より慎重になった!!!」


「それの結果がこれかよ!?」


「うるさいな!!じゃあどうしろっていうのさ!!」



・・・これで、武田怒らせたの何回目だろう


最初のうちは怒らなかったけど


最近は物凄く――



「いひゃ・・・」


「お前は人の話を聞いてんのか」


「き、きいて・・・いひゃいっ離してよ馬鹿ぁっ!!」



頬をつねられ、うまく喋れない



「ってか、武田は怒ってばっか・・・笑うとこなんてあんまり見ないよ」


「別にいいだろうが」


「よくな・・・っ」


「まったく・・・茶碗割るだけならまだしも、お前指でも切ったらどうすんだよ」



ここから、怒号に少しだけ疑問を抱いていく



「転んだ時に膝やら怪我したら?顔に傷でもつけてみろ、これだけじゃあ済まねえからな

それに他の人に迷惑かけたらどうする、被害が俺だけだったらまだ許せるけどな――」



・・・きょとん


多分私はそんな感じ


武田は口から言葉を溢しながら割れたお茶碗を片付け始める



「そ、掃除は私が・・・」


「それでまたドジしたら」


「あ、ぅ」



に、睨み付けなくっても・・・。


しゅん、と萎れると



「お前がドジばっかしてっから、俺が心配性になって笑ってる場合じゃいられねえんだよ!!!」



顔を赤くしてそう叫んだ



「俺は別にお前の事が嫌いって言ってるわけじゃねえんだよ！面倒くさいとかもそうそう思わねえ！」


「え、あ」


「そのドジでお前が怪我するのが嫌なんだよ気付け!!!」


「た、たけ・・・だ・・・」


「Aの体に傷つくとか・・・っそんなん・・・彼氏の気持ちも、かんがえ・・・」



声が小さくなっていく武田に


少し笑みがこぼれる



「あ、ありがとう・・・」


「・・・気をつけろよ」


「うん」



ドジ、頑張って治そうかな。


そうあらためて思った。

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