[短編集]＿一日一笑顔...弐...＿[曇天に笑う]

安倍―…好きすぎること((セルア様リク) ページ25

「天火、本当貰っていいの?」


「おう、ここの野菜はうまいからな」


「ありがとう、嬉しいよ」



天火に呼ばれ、曇神社に行くと


野菜をたくさんもらったので、分けてくれるとのこと。


そのまま、普通に楽しい会話をしていると



「で、A。御前帰ったら少し覚悟してた方が良いかも」


「へ・・・」


「あー、いや、もう心の準備をしといた方が良いぜ。全く」


「いや、何が!?」


「弟達に悪影響なんだよなぁ、あの嫉妬してる目ー。じゃ、頑張れよ」


「まっ、ちょ、てん・・・っ・・・ってぅあ!?」



天火の言っていることが理解できないままでいると、


視界の隅に蒼世がうつった


・・・そう言う事。と理解する。



「・・・A」


「・・っ」


「覚悟はできているか」


「いやぁ、あの・・・」



風呂敷に包まれた野菜を強引に奪い取られると、そのまま腕を引っ張られる


ぎりぎりと、強い力で掴むし引っ張るしで結構痛い。


こりゃ、激怒してますね


人通りの少ない所まで来て・・・。



「・・・楽しく他の男と会話していたな」


「あの、その・・・」



目が怖い・・・っ！


何を言っても無駄だと察し、口を閉じる


蒼世はため息交じりに声を出す



「いくら私を嫉妬させれば気が済むんだ」


「でも、他の人と話すくらい別に・・・」


「普通に会話なら許してやろう。しかし私といるとき上に楽しく喋っているだろう。どういう事だ」



・・・いや、貴方といるとドキドキするんですよ



「・・・私はお前のその、笑顔を、だな・・・」



どんどん小さくなる声。


私の固まっていた体が、少し軽くなる



「・・・私だって見たいのだ、すぐ傍で御前の笑顔を」


「・・・っ」


「しかし、私よりアイツの方が良いのか?」



少し寂しげに表情を変えた蒼世。


ち、ちょっと可愛い、かも



「・・・笑顔で会話しているという事はそう言う事か」


「ち、ちが・・・っあの、蒼世といると緊張するっていうか・・ど、ドキドキし・・・っ」



あああっ!!無理!!!コレ以上口に出せない!!


好きで、ドキドキしちゃうからとか、そのせいで固まるとか言えない!!


そう混乱すると、蒼世は私の頬に触れた。



「・・・私はお前の事が好きだ、だから嫉妬する」


「・・・う、うん」


「お前は私の事が好きだ、だから緊張してうまく会話出来ない。それで合っているな?」



真剣だけど嬉しそうに、笑う


その笑顔に、またドキドキするんだ。

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