[短編集]＿一日一笑顔...弐...＿[曇天に笑う]

嘉神―…子供相手((希愛様リク) ページ11

嘉神視点
――


「家に帰らんといかんねぇ」


「・・・嫌です」



我儘な子じゃ。


前かがみになって、ガキの顔を覗く。


夕暮れ時、一緒に居た子供は帰るのを拒んだ



「ん、A」



そう名前を呼んでやると、目を合わせた



「・・・はい?」



でもなんでじゃろうねぇ


・・・しっかりと僕の目を見れてないのぅ



「・・か、嘉神さん・・・?」



ぺろりと、舌を出して笑うと


不安げに僕の名前を呼んだ



「人の目、見るときはそねぇに怯えたらいかん」


「え・・・あの・・・?」


「ジッと、僕の目だけみちょれ」


「・・っ」


「ええ子じゃ」



ぐっと何かをこらえるかのような顔をして


僕をジッと、言うとおりに見る


顔を近づけちゃると



「な、・・ですか・・・」


「あー、気にせんでええ」


「そんな事、言われても」



・・・すると、限界が来たらしく


目を逸らした。


・・・あーあー、いかん言うたのにねぇ



「君、キスしたことあるかいね」


「・・き・・っ!?」


「そねぇに赤くなることないじゃろう」


「あの、いや・・その」



耳まで真っ赤になってしもうて。


ええねぇ、さっきまでの冷静な顔が嘘みたいじゃ。



「ちゃんと口に出さんと伝わらん」


「・・・な、ないです」



目ぇ合わすだけであの照れよう。


薄々きづいちょったけどねぇ



「ほな、してみよか」


「・・・へ・・・っ」



驚いたAの唇に、僕の唇を押し付ける。


・・・Aは、一歩後ろに下がった


でもそんなの気にはせん、


だって腰に手を回したらそれ以上は逃げられんじゃろう?



「っは、ぁ・・・」


「君の唇、柔らかいのぅ」


「そ、そう言う事言うの・・・っやめ・・・」


「照れとるんか、可愛いねぇ?」


「だから・・・っ」


「照れとるんのは本当じゃろう。可愛いっちゅー僕の感想も本当じゃ」



真っ赤な顔を隠そうとしちょるA。


どうにも、誘ってるとしか思えん


こんなガキ相手にこんな感情、おかしんじゃろうけど。



「ええよ」


「・・・な、なにが、ですか?」


「今日は帰らんでもええ。というか帰さん」


「ん・・・」



Aを抱きしめて、僕の指でAの唇を撫でる


そねぇに不安そうな顔までして


少し震えて


・・・あー、もうなんなんじゃろうねぇ


僕を試してでもいるんか



「ほれ、もう少し近寄れるじゃろう。A

僕をもっと楽しませてよ


照れる君を、もっと見せてほしいのぅ」

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