殺神さんと一緒です。＿[曇天に笑う] (ページ33)

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『終』ページ33

そうして数分

「うっはは」

「死にたいんか」

「いえ、あの、ぶっはっちょ、いや」

こみあげてくる笑いをおさえる

やっと立場逆転の時が来た！

その嬉しさもあってか

笑いがこらえきれない

「ぶっ…くく…ちょ、うは」

「死にたいらしいのぉ」

「誰が死を望むんですかぁ?」

俺の数歩後で

また

俺の数歩下で

息を切らしている嘉神さんを見るのは本当に楽しい。

坂は大変ですねえ

と思いながら

その場にしゃがんで

笑顔で言う

「休憩してもいいですよ?」

すると、嘉神さんは怒っているようなぎこちない笑みを向けて

足を止めた

「僕を馬鹿にしちょるんか。ええ度胸やねえ」

「俺の度胸があるのはいつもの事です」

いえい、と顔の横でダブルピース。

それを見た嘉神さんは

今までのスピードとは違い

ズカズカと足早に俺の所まで来ると、坂から落とすように俺を蹴った

「やめ…っ落ちますってば、此処の坂、急なんで…っ痛い痛い!!」

何とか落ちないように耐える俺

「てか、怒って俺を蹴っ飛ばすって言う考えがもう子供…」

「あ゛?」

「暴力は駄目だと思うんですヨネー」

「君じゃったら平気じゃろう?」

「やだ、そんなに俺って強く見えます?でも、嘉神さんは強そうにも見えな――お゛」

あれ、何か視界が…

体が変な方向に…

「ぼぐしっ!!!」

転がり落ちる

までとはいかなかったが

嘉神さんに百々目鮫で殴られた俺は

前転して、顔面を地面にぶった

すぐに、酷い！と振り返ると

「置いてかないでくださいよー」

嘉神さんはこちらに背を向けて

一人で(笑)

大変そうに(笑)

歩いていた

すぐに追いつけちゃうんで(笑)

走って追いかけはしなかった

「嘉神さぁん、強がらなくていいんですよ?嘉神さんの体力のなさは俺知ってるんで」

「…」

「無視は酷い」

「君に構っちょったら余計に疲れるっちゃろ」

ぎろり、と俺を睨むと

また前を向いて歩いた

「じゃあ休みましょーよ」

もう追いついた嘉神さんの顔を覗くように言うと

頬を拳で殴られる

「何でですか!?今、ちょ…っ今は休みましょうって言っただけじゃないですか!!」

「…顔がウザかったけえのぅ。つい手が出たんじゃ」

「…まあしょうがないですね。頭空っぽですもんね！手しか出せないんですもんね！」

笑顔で言うと

嘉神さんの鋭い睨みと同時に、百々目鮫が飛んできた

…それが当たったとかは、ご想像で。

＿＿終