殺神さんと一緒です。＿[曇天に笑う] (ページ30)

今日:12 hit、昨日:0 hit、合計:14,654 hit

『２７』ページ30

「いやあ、硬い枕だなあとは思ってたんですよぉ」

「…いつも枕使っちょらんくせに枕あると思ったんか」

「嘉神さんに会うまでは枕ありましたので」

「ずぅっと前の事じゃろう」

地面にぶつけた頭をさすりながら

起き上がり、欠伸をしながら座ると

立ち上がった嘉神さんは不機嫌そうな顔をして

俺を蹴った

「寝起きで機嫌悪いんですねー」

「君が邪魔しよったけぇ余計に悪いんじゃ」

「邪魔ぁ?いつ俺がそんな事…痛いっごめんなさいっ…ちょ、蹴り過ぎ…っ」

ただ足を枕にしてただけじゃないですか!!

酷い!!

俺だったら快く寝かしてあげますよ!!!

悪戯は覚悟していただきたいですがね!!

何度も嘉神さんに蹴られた俺は

仕返しとばかりに、足を伸ばして転ばそうとするが

嘉神さんは軽々と避けまた俺を蹴った。

「何度蹴れば気が済むんですか…!!」

「さぁねえ」

一日の始まりから嘉神さんの嫌そうな顔が見れなかった…。

今日の悪戯もうまくいく気がしない…!!

「転べ嘉神」

「君が転べ」

「俺座ってるんで転びません」

「川にでも落ちて来んね」

「嫌でーす」

誰が落ちるもんか。

…いや、この間川に落ちたけども。

あれは嘉神さんが危ない事をするからで俺は悪くない

「嘉神さんこそ川に落ちてきたらどうです。魚取っている間に俺が押してあげますよ?」

「君に出来るんかぁ?ｶｶｯ」

「笑うなこの野郎」

凄い楽しそうに笑い声をあげる嘉神さん

その笑顔に、なんでか恥ずかしさが押し寄せる

…絶対馬鹿にされてる。

昨日から俺の調子は悪く

悪戯やウザい発言が、この人に全く聞かない

「僕もそうするかのぅ」

「…何がです?」

「君が魚取っちょる時に押してやるち言うとるんじゃ」

「嘉神さん年ですし無理はやめたらどうですか?」

「ガキに負けるほど弱っちょらん」

「俺も年寄りに負けるほど子供じゃないと思うんですよ」

にこり

と二人して笑い

変な空気が漂う中

緊張感のない俺の腹は

ぐぅ、と音をならした

「…」

「何じゃあ、今の音は」

「お腹減っただけです」

また楽しそうな声を上げる嘉神さんを睨みながら

腹を抱えて恥じらいを隠す。

「人間なんですから腹が減るのは当たり前でしょう?」

「そうじゃねえ」

「とりあえず笑み消しましょう?」

「人間じゃけえ、感情があるんはしょうがないじゃろう?」

「うぜえ…!!!」