殺神さんと一緒です。＿[曇天に笑う] (ページ23)

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『２１』ページ23

「君も相当に酷い奴じゃ」

「えーなんでです」

いつもの調子を取り戻しつつ、立ち上がり

服や手に着いた土をはらうふりをして

泣いて落ち着かなかった心を、深呼吸をして落ち着かせた。

「僕と同じように人殺しとるじゃろう?」

「それはそうですけどー…」

いや、でも嘉神さんほどじゃないし。

と付け足して、目元の流れなかった涙を拭く

ｸﾞｽﾞ、とまだ鼻は詰まっていて

ちょっとばかり苦しい

「っはぁー…」

震えた溜息を吐いて、もう一度涙を拭く

「嘉神さん、覚えてないでしょう。その村」

「覚えちょらんねぇ」

「でしょーね。そろそろボケ対策した方がいいんじゃないですか?」

挑発的な言葉に、反応のひとつもせず

こちらに背中を向けて歩き始めた嘉神さん

「聞いてますかー?」

しかし、反応なし。

…。

リアクションはしていただきたいものですよ、まったく。

「無視ですかぁ?嘉神さん?…あっもう年だから聞こえないんですね?」

…その言葉には頭に来たのか

嘉神さんは背を向けながら喋った。

「一言一言に反応しちょったら時間がどんだけあっても足りん」

「俺よりも寿命も短いですしね」

「関係ねぇじゃろう」

「ありますよ」

残された時間は嘉神さんの方が短いでしょう?

しかし、その言葉が出る前に

嘉神さんが口を開く

「殺されよったら、んなもん関係ねぇっちゃ」

「…俺が誰かにやられると思うんですかぁ?」

「調子づいちょる時は気を付けた方がええねぇ。さっきも思いっきり転んじょったしのぅ」

「あれは嘉神さんが…っ油断してる時にやるのは卑怯ですよ」

「じゃけえ気をつけろち云うとるんじゃ」

卑怯なことしていいのは俺だけなんです!!

と自分でも意味不明な事を言って

ちょっと心の隅で悔しがったりしてみる

完璧に油断してた時やられた

…あーっ!!思い出したらあの時の自分を殴りたくなってくる!!!

そして今の嘉神さんの一言がグサ、と心に刺さった!!

嘉神さんのくせに!!

「嘉神さん殴らせて」

「断る」

「うーこのイライラどうしましょー」

「君自身を殴ればえぇじゃろう」

ｶｶｯ、といつもの笑い方で笑う

あーいつもに増してウザいです嘉神さん

まあ一番のウザさを持ってるのは俺ですけどね!!

ででん!

…いかん、ウザい通り越して痛い奴になりそうだ…。