殺神さんと一緒です。＿[曇天に笑う] (ページ20)

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『１８』ページ20

「その村に住んでたんですよ、俺」

「…僕に復讐でもするつもりかね」

その言葉に、声のトーンを上げる

「まさか!!復讐なんてしませんよ、だって」

だって

心がきゅう、と苦しくなるけど

構わずに、言葉を発した

「感謝してるくらいなんですから!!!」

そう言うと、嘉神さんは顔を歪めた

まぁ当たり前か

自分の家がある村を襲われて

こう笑顔で言えるはずがないんだから

「変な奴じゃねぇ?君も家族に見放されたんか」

冗談気味に笑う

でもね

「その通りですよ」

…瞬間、嘉神さんの笑顔が消える

「その村ね、何年かに一度儀式があるんですよ。

その儀式には生贄が必要でね

それに選ばれた奴は儀式の最中に殺されるんだ」

くすくす、と何がおかしいのか笑いながら

俺は続ける

「…ある年に、俺は生贄に選ばれた。

つまんない日常に、どかんと隕石だか何かが落ちたような感覚でしたよ。

…皆可哀想可哀そうって。

でも、両親は違った」

じわ、と心が痛み、涙が滲みそうになる

声まで震えちゃってさぁ?

「しょうがないって、村の為だって

何も悲しみはしなかった、何も、何も

関わりすら途切れさせた

見向きもしなくなった

おかげで死の恐怖はなくなったけどね

…絶望が生まれた

殺意が生まれた

生への執着心がすごくなったよ

…あの両親の恐怖におびえる顔が見たいって」

あはぁ、とため息交じりに笑い声をあげると

嘉神さんは呆れたように言う

「僕よりイカレとるんじゃねぇん?」

「まさか、嘉神さんには敵いませんよ」

そう返事を返して

まだ続けた

「嘉神さんがおそったのはその儀式当日でね

殺意と絶望だけでその時の俺は生きてたわけだ、それ以外何もいらなかった

でも

村の人たちに悲鳴をあげられながら、警察引きずって現れた血まみれの嘉神さんは

俺の死への道を塞いでくれたんだよ

他からすれば殺人狂でも

俺にとっては英雄みたいなもんなんです」

「英雄ねぇ、阿呆が言う台詞じゃ」

「…阿呆なんでね」

ふぅ、とひとつ溜息をついて、またいつもの調子に戻る

「で、俺の言葉で伝わりましたかぁ?かっがっみっさーん」

「僕についてくる理由はなんじゃ」

「…えっ馬鹿?」

「しろしい」

…察してほしいよねぇ

本当自分で考えない人だぁ

「アンタが村壊したせいで家ないでしょう」

「それだけか?」

「いーえ?」

理由ねぇ、沢山…ってほどでもないか。