殺神さんと一緒です。＿[曇天に笑う] (ページ19)

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『１７』ページ19

「大変じゃったけどねぇ、さっきの驚いた顔見よったら疲れも吹っ飛んだわ」

「もう意味わかんないですけど…。とりあえず足退かしてください」

何をどうしてこうしたのか…何言ってんだ俺。

意味わかんないけどもうどうでもいい。嘉神さんにやられた畜生。

「覚悟しといてください」

「君も警戒、しとったほうがええんじゃねぇの」

「はあ?…うぶごっ!!」

ちょっと不機嫌になったとき、俺は木の根っこに足を引っ掛けて転んだ。

「…」

「それは僕じゃねぇっちゃ」

「知ってます」

ちょっとかわいそうなものを見る目というか、引いた顔がムカついた。

そんな顔しないでください。

頭に来るわー。

嘉神さん、俺のこと言うけど

実際アンタの言動も多少は頭に来ますよ

俺には敵いませんがね!!!!

「もういろいろと最悪なんですけどー」

「僕はえぇ気分じゃ」

鼻で笑われながら、俺は立ち上がると

もう何もないだろうかと、警戒しながら

歩き始めた嘉神さんを追いかける。

「怪我した…」

「怪我くれぇで何を言うんじゃ」

「いえ、怪我したこと自体は別に良いんですけど、嘉神さんにやられたことがムカつきます」

その言葉に対して、嘉神さんは何の反応もしない

それに対して、俺は多少むすー、としながら

腕の、怪我した周りの土をおとす。

「嘉神さーん、おんぶしてー」

「誰がするか」

「さっき転んだりして疲れましたぁ」

「んじゃあそこで休んじょれ」

「あっはは、冗談面白いですね。置いてく気満々でしょう」

すると、嘉神さんは不機嫌そうな顔で振り返り

「そろそろ、何で僕に着いて来よるんか話してくれんかのぅ?」

そう言った。

「…いつも言ってるじゃないですかぁ、嘉神さんいじめ楽しいんですよー」

嘘ではない。

でも、嘉神さんは疑いの目をやめなかった

…慣れてるはず。

その目には慣れてるはずなのに

焦りがグツグツと腹の底から、喉の奥からおそってくる

…なんで、そんな目で見るんですか。

「…」

「…そねぇな顔してどうしたんじゃ」

どんな顔してるかなんて知らない。

「貴方まで、俺を捨てないでくださいよ」

「捨てるも何も、僕は――」

「貴方だけがすべてなのに」

偶然と言えど

ただの嘉神さんの欲望の為と言えど

俺は救われたんだ

「…嘉神さん、ある村おそったことあるでしょう。警察目当てだか知りませんが」

「あー、そねぇな事もあったかねぇ?」