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吉野「ちょ、ちょっと・・」
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少し離れたところで、吉野先生がカズにぃを呼んでいる。
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和也「お前、荷物とか全部取ってこいよ。」
「へ・・、あ、うん。」
和也「傘、忘れんなよ。・・俺、ぬれんの嫌いだから。」
「うん・・・、えっ・・？」
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頷いて、顔を上げると
カズにぃは傘を一人で差している先生の元へと走って行ってしまって。
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けどやっぱり、
吉野先生の方へはすぐに走って行くんだって。
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そう思ったら、どうしても切なくなって。
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でもだからって、
吉野先生に獲られたくなくて。
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傘を片手にカズにぃの元へと走っていくと、
カズにぃは吉野先生の傘へは、入らず
私の腕を引っ張り、
そのまま私の体を引き寄せる。
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「なっ・・」
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雨にぬれるの嫌いって言ってたのに。
私を引き寄せたカズにぃも、私も雨に打たれて。
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吉野「なんなの？」
和也「ごめん、せんせ。」
吉野「え・・？」
和也「俺の思い通りになったから、もういいや。ばいばい(笑)」
吉野「は、・・ちょ、待ちなさいよ。」
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さっきまで二人で入っていた傘に、今は吉野先生しか居なくて、
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呆然としている先生を他所に、カズにぃは私の傘を手に取り
勢いよくバサっと差した。
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その傘に入ってるのは、
今は、私とカズにぃ。
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それが、嬉しくて、
くすぐったくて。
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今更傘差したって、意味ないってくらいにぬれてるのに。
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「・・か、カズにぃ・・吉野先生は・・？」
和也「・・あー、どうでもいい。」
「へ・・？」
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カズにぃの口から、驚く言葉が出てきて。
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唖然とする私を放って、カズにぃは意地悪く笑う。
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和也「あれ？泣き止んじゃったんだ。」
「え・・」
和也「もっと、泣いててよかったのに(笑)」
「なっ・・・な、何言ってんの。」
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なぜか、途端に恥ずかしくなって
顔を背けると
不意に体がクルリと反転して
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「きゃっ・・・」
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壁に背中が押し付けられていた。
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革ベルト
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作成日時：2012年5月1日 19時
