七話「デスゲームの始まりは…前編」 ページ9
貴「……はっ」
フレンジーボアを三十八匹ぐらい倒して、草原に寝転がったら、そのまま寝てしまったらしい。
今は、五時三十分ぐらいで、真っ赤な夕焼けに染まる大空と黄金色の草原が見えた。
現実では見えない光景に、少し感動してしまった。
貴「寝てしまったか……。狩を続けないと……」
立ち上がり、周りに獲物がいないかを確認していた時だった。
リーンゴーン リーンゴーン という音が鳴り響いたのは。
貴「この音は……！」
もうそんな時間なのか。
私がそう呟くと、私の身体を鮮やかなブルーの光が包みこんだ。
βテストの時も体験したこの現象。
おそらく≪転移≫だと思われる。
身体を包む光が一際強く脈打ち、私の視界を奪った。
青の輝きが薄れてくると、そこはあの草原ではなかった。
石畳と街路樹。写真でしか見た事がない、瀟洒な中世風の街並み。
そして正面遠くに、黒光りする巨大な宮殿……。
間違いなく、ゲームスタート地点である『始まりの街』の中央広場だろう。
……何故か、私はいきなりフィールドにログインしたが。
そんな事を考えていると、誰かが叫んだのが聞こえてきた。
「あっ……上を見ろ！！」
弾かれたように上を見ると、そこには異様なモノが存在していた。
百メートル上空、第二層の底を真紅の市松模様が染め上げていく。
目を凝らすと、二つの英文が交互にパターン表示されたものだった。真っ赤なフォントで綴られた単語は、【Warning】と、【System Announcement】と読める。
広場のざわめきが終熄し、皆が耳をそばだてる気配が満ちる。
だが、これから起こる事は、この広場にいる人々の予想を裏切るものだった。
いつの間にか空を覆い尽くしていた真紅のパターンの中央部分が、巨大なナメクジの赤いバージョンのようにゆっくりと落ちてきた。
人によっては、血液の雫、という人もいるかもしれないが、私には赤い巨大なナメクジに見えたのだ。
その赤い巨大ナメクジは、突然空中で、その姿を変えた。
出現したのは、身長二十メートルはあろうかという、真紅のフード付きローブをまとった巨大な人の姿だった。
……いや、人では無いな。私達は地面から見上げているので、深く引き下げられたフードの中が見通せるのだが……人にはあるはずの顔が無いのだから。
ローブの形には見覚えがあった。あのローブは、βテストの時、アーガスの社員が務めるGMが必ず纏っていた衣装だったのだから。
＊＊＊＊＊
文字数の関係で次にいきます。
八話「デスゲームの始まりは…後編」→←六話「金豚が落としたアイテム」
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チヨコレイト(プロフ) - とても面白いです！続き、頑張ってください(*^^*) (2013年10月26日 21時) (
レス) id: db278dadad (このIDを非表示/違反報告)
Misato(プロフ) - 続き楽しみにしてますっ！！ (2013年10月25日 19時) (レス) id: 3ad2d7fa7b (このIDを非表示/違反報告)
紅音 - ＳＡＯ楽しいですよね！続きが気になります！更新待ってますｗ (2013年10月22日 19時) (レス) id: 9773468b44 (このIDを非表示/違反報告)
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