カジノD,D (ページ10)

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mm「ねえ、阿部ちゃん、あの状況でどうやって勝ったんすか？遠くからじゃ俺分かんなくて……」
　勝負後、同時に休憩室に入ったのは阿部、佐久間、目黒の三人だった。
ab「ん？最初は掛け金少な目にして、少しづつ少しづつ、トランプに爪で印付けたりとか、最後のあれは、袖口に隠してたカードと手札を交換しただけ……つまり、単純なイカサマだよ」
mm「やっぱりイカサマだったんすね、俺全然気づけなかった……」
ab「まあ、簡単だからこそ、リスクはある……俺は相手の視線を常に気にしてたし、あのおじさん、目の色でなんとなくどんなカードきてるのか教えてくれるんだもん、勝つの楽だったよ」
　佐久間はそこでオレンジジュースを啜りながら顔をあげた。
sk「さっすが阿部ちゃん！よっ、この店ナンバーワンのあざと詐欺師！」
ab「その呼び方やめろ！！……でも、ありがとね、佐久間。俺のイカサマ、気づいてたけど、気づかないふりしてくれてたんでしょ？」
sk「えぇ、佐久間は褒めてるんでやんすよ～……それに、俺はなーんも気づいてなかったよ？」
　ほぉれ、よーしよーし、と佐久間は阿部の頭を優しく撫でてやる。やめろ、と満更でもない顔で阿部は手をどかした。その瞬間、袖口から見えるあざに目黒は分かりやすく目くじらをたてる。
mm「阿部ちゃん、あの男に掴まれた手首、消毒しましょう」
　そういいながら、エスコートするように、阿部の手を取る。きょとん、と阿部は目黒を見上げた。
ab「え、そんな、大丈夫だよ目黒。別に痛くもかゆくもないよ？」
mm「俺が気にするんです……くっそ、あの花柄パンツ、あそこが店じゃなかったら、俺が一発こめかみに」
ab「そんな大げさな……」
mm「当然です、俺は阿部ちゃんを守りたいんすから」
sk「でた、強火阿部担」
ab「ねえ、俺が知らない呼び名ポンポン増やすのやめてくんない？？」
　そこで、休憩室の扉がか細い音を立てながら開く。自然と騒いでいた三人の視線が集中した。
dt「盛り上がっているところ悪いけど、三人とも……幹部は会議室に集合」
　依頼だよ、とカジノD,Dのバーテンダー、宮舘涼太は、人差し指と親指に挟まれた白いカードを三人に見せながら、そう宣言した……。