夢の扉が開いたようです (ページ22)

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「……付き合ってくれないかな」

そう言うと、彼女は笑った

『ふふっ、ドッキリですか？』

「え……」

『さすがに騙されませんよ？すぐドッキリ仕掛けてくるなんてYouTuberは怖いなぁ』

冗談を言うかのように、Aちゃんは笑う

「いや、違うって！」

この時、初めてYouTuberである自分を恨んだ

告白さえ信じてもらえないのか…と

何を言えば、何をすれば信じてもらえる？

「俺、本気だよ？まじで……付き合って欲しい」

俺にはそんなカッコつけたことも、ドッキリじゃないって信じて貰えるようなことも出来ない

馬鹿みたいに素直に伝えることしか出来ないんだ

『…本当…に？』

俺はゆっくりと頷いた

「ドッキリとか疑われても仕方ないようなことばっかしてるし、知り合ってからそんな経ってないから信じてもらえないのも…分かってる。それに……Aちゃんが俺らとは深く関わりたくないと思ってるのも分かってるんだけど……」

あれだけ肩押してもらったからには…伝えるしか無かった

『あの…深く関わりたくないなんて思ってないですよ？』

「…え？昨日、ただの視聴者だから…って」

『それは……距離を置かないと…と思ったからで…』

やっぱり俺らとは距離を置きたいんだ

『…私も…としみつさんのこと、好きです…。だから、距離置かないと一生実らない恋してるの絶対辛くなるからと思って昨日そういうこと言っちゃったんですけど……！』

私が言い終わる前にグッと腕をひかれ、気がつけば彼の腕の中だった

「まじ……？」

『まじ…です…』

この場所だけ、スローモーションに見えた。人の流れも、木々の揺れも全てがゆっくりだった

「…ごめん！」

彼はそう言って私をゆっくりと離した

もしも近くに視聴者さんがいて、見られてしまえばすぐ噂になるだろう。俺は良くても…Aちゃんは…

「…すげぇ嬉しい。でもこれからこうやって視聴者さんがいるかもしれないところ一緒には行けないし、遠距離だし……それでも…いいの？」

『…はい。いいです。それでもいいです』

Aちゃんは目を細めうっすらと涙を溜めながら笑ってそう言った

守りたい。何があっても、絶対に。そう誓った

時計をチラッと見るともう時間だ

「時間だ……」

『これからも頑張ってくださいね』

「…うん。また会いに来るから」

そうして、俺達は始まった