愛なんてとっくに捨てました

Un agne 20 ページ20

その日の夜




｢『かんぱーい』｣




春奈オススメのオシャレなお店に来たせいで、久しぶりに背筋がシャキッと伸びる




春奈と飲みに行くと絶対ここだからなぁ……




いつもならこんなとこ来ないし……





ミコトさんたちと食べに行く時は普通に居酒屋とかも行くし……




「Aはやっぱりお茶なんだね」




春奈の手にはカクテル





私の手にはお茶




『ん……まぁ……お酒あんまり好きじゃないからなぁ』




「昔からそうだよね〜。美味しいよ〜？」




一口だけ！と勧めてくるがそれも断る





『それで？なんか最近あった？』




急に話を変えてお酒を遠ざける




「あ、こないだ高校同じだったさ〜……」




春奈の近況を聞いたり、仕事の愚痴を聞いたり、最近ハマっている俳優を聞いたりと




私は相槌を打ちながら足を組み直す




「あとね……好きな人出来ちゃった……かも」




少し酔い始めてきた春奈は顔を赤くしながら言う




『春奈の同じ職場の人……？』




「ううん……。Aの知ってる人」




私の知ってる人？




春奈と同じだったのは小学校、中学校、高校まででそれから先のことは知らない




『誰〜？』




「Aと同じ職場の……中堂さん……って人」




中堂さん……！？




『え、今日初めてあったばっかりだよね！？』




「一目惚れ……」




春奈は顔を抑えながら言う




『あの人は……マジでやめたほうがいいよ？口は悪いし態度も悪い。それに……』




あの人には大切な人がいる




そう言いかけて止めた




「そんなこと言っちゃって……Aも中堂さんが好きだからそんなふうに言うんでしょ？」




春奈はまたお酒を口に含みながら言う




『はぁ………そんなわけないでしょ？私は春奈を心配して言ってるの。うちの先輩達もみんな言ってる。愛想悪いだの態度悪いだの。いいところ探すより悪いところ探す方が圧倒的に簡単』




「……でもさぁ……かっこいいじゃん。それに仕事も出来そうだし、身長高いし……応援してくれる？」




『…………』




春奈はそう言うとお酒のせいか、眠ってしまった





春奈がお酒を飲んで眠ってしまうのはいつもの事だからもう慣れてしまった




『すみません……お会計お願いします』




「また寝ちゃったんですね」




定員さんは笑いながらレジを打つ




『いつもの事なんで……もう慣れましたよ』




苦笑いをしながら春奈を起こし外に出た

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