・ ページ4
「え、もふもふしないんですか？」
「ちーがーう、俺がもふもふしたいのはこっち」
「こっち…？」
何のことかわからなくて首を傾げた瞬間に、センラさんにぐいっと引っ張られる。
そのままセンラさんの方に倒れ込むようにして、私は彼の胸に飛び込んだ。
「ほら、もふもふしてる」
センラさんは私のパジャマを触りながら、にっこりと笑ってそう言った。
う、かっこいい……。
ずるいよ、少し怒ろうと思ってたのに、怒る気失せちゃった。
「……パジャマが、もふもふしてるやつですもん」
「うん、俺が選んだやつやで」
「Aは知らへんやろうけど」と付け加えたセンラさんが、私の腰に手を回しながらそう言った。
センラさんに抱きしめられていることと、耳元で色気たっぷりな声で話しかけられたことの２つに酷く反応した心臓が、バクバクとうるさい音を立てる。
「ふふ、A、ドキドキしてるね」
「…っ」
胸と胸をくっつけているんだ、お互いの心音が聞こえて当たり前。
恥ずかしい、恥ずかしくて死にそう。
でも、ニヤニヤと意地悪な表情をしたセンラさんの心拍数だって……少し早い。
「センラさんだって、ドキドキしてるじゃないですか……いでっ」
ムッとしながらそう言ってやると、センラさんに軽くデコピンをされた。
「うるさい、俺だって好きな子抱きしめたら心拍数くらい上がるわ」
そう言ってセンラさんは私から顔を背けた。
きっと少し赤くなっている顔を見られないようにするため。
でも、こんな抱きついている状態で顔を逸らしたって無駄だよ。
「センラさん、耳、真っ赤ですよ」
「うるさいなぁ、Aだって顔真っ赤なくせに」
顔に熱が集まっているのは自覚している。
こんな赤い顔、本当は見られたくない。
でも、センラさんの赤い顔を見るためなら、ちょっとくらいの羞恥心は捨てられるなぁって。
「お相子…ですね」
「その"してやったり"みたいな表情腹立つわぁ」
「えー……」
文句を言いながらも私を抱きしめる力をちょっとも緩めようとしないセンラさんは、やっぱり私のことが大好きなんだろうな。
……その大好きな私っていうのは、記憶を失う前の私のことなんだろうけど。
そんなことを考えると胸がちょぴっと痛くなったので、センラさんの胸に顔を埋めた。
その行動にセンラさんの心拍数がさらに上がったのは、気づかないふりをしてあげよう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 445人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あやね(プロフ) - センラさんの執事姿想像して死にそうです。9月からまた更新待ってます！！ (2021年9月1日 17時) (
レス) id: e7f1d7c7f6 (このIDを非表示/違反報告)
さとう。(プロフ) - 夢主ちゃん可愛すぎ…！！執事センラさん絶対かっこいい(確信)(ツイッターでもリプしたさとうだよ) (2019年5月25日 20時) (レス) id: be458f5802 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ほわいとふぃっしゅ | 作成日時：2018年12月31日 17時
