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ページ28

「……うん、知っとるよ」


こうやって何度も何度も愛を伝えてしまう。

それがセンラさんを困らせているとわかっていても、まだ子供な私が一人で抱え込むには大きすぎる愛だった。

いつもはここで「ありがとう」と笑うの。

でも、でも今日はもう一つだけ、いいたいことがある。


「センラさんは、私のこと、好き……?」


そう呟いた瞬間、宝石を嵌め込んだみたいに綺麗なシトリンの瞳が、大きく揺れた。

その揺らぎの中に何があるかなんてわたしにはまだわからない。

センラさんは一度目を伏せたあと、彼用のティーカップを手に取って、こう言った。


「嫌いではない」


「そっ、かぁ……」


「ごめんな」


センラさんは紅茶を一口飲んだあと、少しだけ悲しげな笑みを見せてそう言った。

チクリ

胸が痛むけれど、そんなこと気にしちゃいけない。


「ううん、変なこと聞いてごめんね」


センラさんと私はお姫様と執事。

身分が違いすぎる関係で、お姫様の隣は王子様だといつも決められている。

だから私の隣は淡いアルビノを持ったまふまふさんだと決まっているの、生まれたときからずっと。

センラさんはそれを理解して、それを全て考えた上でさっきの言葉を選んでくれたんだ。

彼は、とても優しい人だから。

ジクジクと痛む心臓には気付かないふりをして、出来立てのスコーンを口に運ぶ。

甘酸っぱい苺ジャムが、なんだか胸に滲みるような気がした。


「おいし、」


「それはよかった、坂田も喜ぶわ」


どうして私とセンラさんはお姫様と執事なんだろう。

どうして普通の恋人同士にはなれないんだろう。

私が私じゃなかったら……センラさんと一緒にいられたのかな。



全部全部、忘れてしまえればいいのに。

センラさんへの想い以外全て捨てられれば、私はセンラさんだけのお姫様になれるのかな。

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あやね(プロフ) - センラさんの執事姿想像して死にそうです。9月からまた更新待ってます!! (2021年9月1日 17時) (レス) id: e7f1d7c7f6 (このIDを非表示/違反報告)
さとう。(プロフ) - 夢主ちゃん可愛すぎ…!!執事センラさん絶対かっこいい(確信)(ツイッターでもリプしたさとうだよ) (2019年5月25日 20時) (レス) id: be458f5802 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ほわいとふぃっしゅ | 作成日時:2018年12月31日 17時

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