*9日目…アイスを食べる ページ22
ーside youー
ぱち、と目を開けるといつもの白い天井.......じゃなくて、食事をする時に使うテーブルが目に映った。
あれ、なんで私、こんなところに。
「あ、A起きたんや.......!」
むくりと顔を上げると、目の前には大好きなセンラさんの顔。
よかった、センラさん、いる。
「えっ、ちょ、なんで泣くん!?」
「だって、センラさん、いるんだもん」
ポロポロと涙を零すと向かい側に座っていたセンラさんはすぐ横まで歩いてきて、そして、優しく私の体を包み込んでくれた。
大好きな香りが胸いっぱいに広がって、まるで魔法にかけられたみたいに涙が止まる。
「ごめん、俺がいなくて、不安にさせたよな」
そうだ、今日は目が覚めたら知らない人がいて、センラさんがいなくて、すごく怖かったんだ。
改めて自分はセンラさんがいなければ何も出来ないということを実感させられる。
あぁ、本当にどうしようもないほどセンラさんに溺れちゃってるんだな。
「アルビノの男の人が、来たんです」
「......その人の声は、少し高かった?」
そうたずねるセンラさんの声は、今までに聞いたことがないほど冷たいものだった。
それが少し怖くて、声も出せないままとりあえず首を縦に振る。
「そっか.......怖い思いさせてごめんな。あの人は、悪い人じゃないんよ」
「私の名前、呼ばれました。記憶を失う前は、知り合いだったんですか?」
「んー.......まぁ、そんなところ」
センラさんはどこか諦めたような声で、苦笑いを浮かべた。
なんだろう、まるで私とアルビノの彼の間に何かあるみたいな。
ただの知り合いじゃなくて、そこそこ仲良かったのかな。それなら私が彼を覚えていないと言った時の、アルビノの彼の悲しそうな顔もうなずける。
「あいつのことはもう少しいろんなことを思い出したらでええよ、ほら、この前買ったアイス食べよ?」
「はいっ!」
なんだか上手く話をそらされた気がする。
でもセンラさんとアイスが食べられるなら、それでもいっか。
「ほい、Aが好きな方から先に食べ。途中で交換したるから」
「いただきます」
1口含むとそれは舌の上であっという間に溶けてしまう。
甘い甘いチョコレート味のアイスは、少し切ない心によく染み込んで痛かった。
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あやね(プロフ) - センラさんの執事姿想像して死にそうです。9月からまた更新待ってます!! (2021年9月1日 17時) (レス) id: e7f1d7c7f6 (このIDを非表示/違反報告)
さとう。(プロフ) - 夢主ちゃん可愛すぎ…!!執事センラさん絶対かっこいい(確信)(ツイッターでもリプしたさとうだよ) (2019年5月25日 20時) (レス) id: be458f5802 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほわいとふぃっしゅ | 作成日時:2018年12月31日 17時