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「センラさん、あの白いの綺麗です!」
白く輝くハートのイルミネーションに向かって一歩踏み出した瞬間、繋いでいた手を強くひっぱられた。
「白は、だめ」
「え?」
ひっぱられた方向に体が傾き、センラさんと一瞬目が合ったあと……唇に、柔らかい何かが触れた。
ふに、という、何処かで覚えのある感触と、ほのかなぬくもり。
「あ……ごめん、Aが可愛すぎて、キスしてしもたわ」
センラさんは少しだけ恥ずかしそうに頬を赤く染めて、何処か上の空な状態でそう言った。
センラさんに、キス、されちゃっ、た。
「おーい、大丈夫?顔、真っ赤やで?」
「ば、ばっ、か……突然しないでくださいっ……!」
「ごめんごめん……」
突然の出来事に驚きを隠せなくて、心臓が弾けてしまうんじゃないかと思うほど強く脈打っている。
なんで、いきなり。どうして、今。
キスをしてもらったという喜びを噛み締められないほど、頭の中はパニックに陥っていた。
それでも「記憶失う前はよくしとったから、許して?」とセンラさん甘えるような声で言われてしまえば、頭の中はセンラさんでいっぱいになって。
「許します…」
そう、真っ赤な顔で頷いた。
心拍数はまだまだ速い状態だろう。
「じゃ、あっちまで行ってみよか」
センラさんが一度手を離して、もう1度繋いだから。
「センラさん、手……」
「い、嫌やった?」
嫌なわけがない。
センラさんはさっきまでの普通の繋ぎ方じゃなくて、恋人繋ぎと呼ばれるやつに変えてくれた。
それが嬉しくて仕方なくて、少し口元が緩んでしまう。
「嫌なわけ、ないです。このままでお願いします」
「ん。人多いから、はぐれんようにね」
そう言って優しくはにかんだセンラさんの耳は真っ赤だ。
その耳が赤いことが寒さのせいだけじゃないってことくらい、私にもわかる。
愛おしさが胸いっぱいに広がって舞い上がっていたからか、数多くのイルミネーションゆっくりと歩いていく中で、センラさんが白いイルミネーションを避けていくことに、なんの疑問も抱かなかった。
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あやね(プロフ) - センラさんの執事姿想像して死にそうです。9月からまた更新待ってます!! (2021年9月1日 17時) (レス) id: e7f1d7c7f6 (このIDを非表示/違反報告)
さとう。(プロフ) - 夢主ちゃん可愛すぎ…!!執事センラさん絶対かっこいい(確信)(ツイッターでもリプしたさとうだよ) (2019年5月25日 20時) (レス) id: be458f5802 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほわいとふぃっしゅ | 作成日時:2018年12月31日 17時