EXOと神様の昔話 (ページ11)

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モンペ誕生秘話③ ページ11

｢シン…僕たちはもう家族なんだから、そういう大事なことはきちんと言ってほしいな…？｣
｢家族…。｣

スホの言葉を聞いて、顔を上げ、きょとんとしてその単語を口にするシン。

まただんだんと目線が下がっていって、数秒間俯いてから、何かを決めたように再び顔を上げた。

｢じゃあ…僕のことは、“A”って呼んでください。｣

そう言われて、全員が首を傾げる。

｢A…？｣
｢僕の、名前です。そっちで呼ばれる方が、慣れてるから。｣

まさか名前まで違うなんて思わなかった俺達に、また衝撃が走る。
シンは真っ直ぐこっちを見て、

｢でもこれからはパク・シンだから…この名前は家族以外には言っちゃいけないって。｣

正座した足の上で、ぐっと拳を握りながら、シンは続ける。

本当に意味がわからない。
名前は大事だって、どんなに子供でも知ってる。

お前だって俺たちの名前きちんと発音できるように練習してたろ。

｢どっちも本当に僕の名前だけど、まだ慣れなくて…まるで、｣

“まるで違う人間になったみたいな気持ちなんです。”

最後は小さな声だった。

名前ってのは存在証明だ。
自分を忘れないでいられるまじないみたいなもんなのに。
芸名を作ることで、本当の自分を守れる。
本当の自分を見失わずに済むのに。

それなのにこいつは大事な自分の名前を変えてまで韓国に来てデビューしようとしてんのか。

たった一人で家族と離れて、頼れる奴もいなくて、

それでも。

覚えたてで、でも焼き付いて離れない音。

｢A。｣
｢はい。｣

シンが、いや、Aが笑った。

また、心臓がどくんと鳴って、きゅうっと締め付けられる。

俺はAのことなんて全くわかっていなかったし、わかろうともしてなかった。
俺の言葉や態度で、少しでもその心が曇ったことがあるじゃないかと思うと、自分にムカつく。

A。
A。

忘れないように、何度も頭の中で繰り返した。

こいつ自身が忘れないように、俺が覚えておいてやる。

この後、彼はチャニョルに捕まって日本についてあれこれ聞かれていた。

俺は、

もっと、Aのことを知りたいと思うようになった。

この日から俺がAのことばかり考えるようになるなんて、まだ思いもしなかったけど。

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歴史上最強で最恐なシンのモンペ誕生の瞬間。