EXOと神様の昔話 (ページ5)

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慣れない生活① ページ5

韓国で暮らし始めてからは、大変だった、の一言に尽きる。

まず、日本で生まれ育って日本の学校へ通っていた僕にとって、韓国語だけでの生活というのがまず慣れなかった。

話すのは全く問題なかったが、文字を読むのも遅いし、咄嗟に口から出てくるのは日本語だ。

僕は他の練習生達と同じように、集団での生活もできないし実家から通うこともできない。

学校と両立する人も多いらしいが、僕にはその時間はない。
とにかく、1日のほとんどの時間を練習にあてた。

韓国には幸いにも母さんの親戚が住んでるし、万が一何かがあったらその人達を頼るように言われた。

今日から自分はパク・シンなんだと気合を入れて、僕の練習生生活は始まった。

歌、ダンスを中心に毎日毎日レッスンする日々。

朝早く練習室へ行ってピカピカに掃除するところから始まる。
隅々まで掃除する。
時間がもったいないから発声もやりながら。

そして終わったらまた発声しながらストレッチ。

念入りにストレッチを済ませてから、気持ちを切り替える。

次から次へと新しい曲が渡されて新しいフリや動きを学んで覚えて、パンクしそうな頭をできるだけクリアに、透明に保つ。
すごく大変だ。

先生が来てレッスンを受ける他は、全て自主練習だ。

頭の隅で振り付けを確認しながらも、空っぽになって体を動かす。

僕はほかの練習生達と一緒に練習をすることはあまりない。
普通の練習生達がこなすメニューを、デビューするまでに叩き込むように言われた。

期限付きの僕には、本当に時間が無かった。
まあデビューするまでの計画を知っていたからこその焦りだったけど。

スマン先生(練習生になる以上、さん付けはさすがにやめておいた)があらかじめ次にデビューさせようとしているメンバーのことをまとめた資料を渡してきたから全部頭に叩き込んでおく。

練習生期間が長い人もいれば、なったばかりの人もいる。

ダンスが上手な人もいれば、歌が上手な人もいる。

僕は彼らと一緒にデビューするんだ…。

まだまだ実感なんてものは湧かないし、彼らだってまだ僕のことを知らない。

練習生期間が長い人達は、それなりに信頼があるみたいだ。

それに比べて僕は今までに積み上げてきたものがなさすぎる。
信頼を築くのは簡単なことじゃない。

でも彼らは僕の大切な仲間で、僕がこれから絶対に守らなくちゃいけない人達なんだ。

せめて、実力だけでも認めてもらえるように頑張らないとな。