第肆拾伍話 ページ47
ちょこんとおれの隣に座るA
何の話かと思ったがAが口を開いて思わぬ言葉を発した
「復讐ですか」
ロー「ッ!!!」
バッとAの方へ顔を向けるといつもの笑みを浮かべた顔とは違う
まるで子を諭す母のような顔をしていた
ロー「なぜそう思う」
「私も一時期、船長さんのような目をしたことがありましたから
最愛の妹を鬼に殺されたあの日から」
Aはまっすぐと前を向きながら言った
横から見えたその目は何故か悲しげに見えてしまった
「ですが、私は心のどこかで『復讐』という言葉にずっと引っ掛かりを感じていました
確かに鬼は妹を殺しましたが結果的に私を地獄のような家から解放してくれたようなものだと
だからこそ迷ってしまった、船長さんのようにはできなかった」
"私は無意識に生きる目的を復讐にすり替えていたのかもしれません"
"そうでもしないと自分を動かせないのです"
淡々と紡ぐ言葉を聞いていることしかできなかった
「私は欲しかった生きる目的が…鬼からね人を救った時、泣いて感謝してくれたんです
その時から私の幸福は硝子のように壊されてしまったけれどまだ破壊されていない誰かの幸福を守りたいと思った
強くなって妹のような人を一人でも減らしたいと……きっと妹もそれを望んでいると」
すぅっと深呼吸したAがおれの方へと体を向ける
「あの島にいたときの船長さんは私と同じような目をしてましたから
あの目がずっと気がかりでした」
ロー「……復讐を止めろとでも言うか気か?」
「いいえ、まさか。私には船長さんの復讐を止めさせる気は毛頭ありません
そんな資格もありませんから」
"ただ視界は狭めないでくださいね"
「復讐に囚われた人は皆、視界を狭めてしまう
見えるものも見えなくなる
それが命取りになってしまうのではないかと怖くなりまして
似たような人を何人も見てきたせいですかね」
ロー「……結局、お前は何が言いてェんだ」
「いえ、ただの小娘の戯れ言と流してください
船長さんにはやらなきゃならないことがあるのでしょう?
私はただ、船長さんには自分を大切にしてほしいんです。船長さんが大切にされたように…
きっと、船長さんのその人もそれを望んでいると思います
お休みなさいませ」
そう言ってAは立ち上がって去っていった
"愛してるぜ"
懐かしいあの人の声がしたような気がした
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射命丸紫(プロフ) - 天の川さん» 実は記憶が曖昧でございまして、主人公ちゃんが煉獄さんの継子の作品でしたね。面白かったので是非読んでみてください! (2020年5月10日 0時) (レス) id: 8cde876daf (このIDを非表示/違反報告)
射命丸紫(プロフ) - 名無しさん» ご指摘ありがとうございます。返信が遅れすいませんでした! (2020年5月10日 0時) (レス) id: 8cde876daf (このIDを非表示/違反報告)
天の川 - ワンピースと鬼滅の刃の神作の題名なんですか?よければ教えてください!! (2020年5月9日 12時) (レス) id: 348cf1e7b1 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 面白かったです!あと、蜜璃ちゃんの隊服を作ったのは花田さんじゃなく、前田(まえだ)さんですよ! (2020年4月29日 9時) (レス) id: 5c72e7066e (このIDを非表示/違反報告)
射命丸紫(プロフ) - 笑舞さん» 感想ありがとうございます!そう言って頂けると励みになります!楽しんで読んでくださると幸いです! (2020年1月24日 1時) (レス) id: 8cde876daf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:射命丸紫 | 作成日時:2019年12月18日 11時