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『んー、じゃあさ、康二くん選んでよ?』
向「へ?」
『私、本当にオレンジのもの持ってない……と思うし。折角なら、似合いそうなやつ。』
向「え、ええの?」
『うん。康二くんのセンス信じてるし(笑)』
そう言って、よし、あっちだ!なんてソファーに誘導される。
勢いよく言いながらも、控えめに俺のシャツの袖を引っ張って行くところが、なんていうかAらしい。
隣に座れば、スマホでショッピングサイトのページを開いて、俺に寄り添う。
『んーと、この辺が可愛いかなって思ってるんだけど、どうかな?』
向「……探してくれてたん?」
『あ。』
バレた、みたいな顔をしたから、もしかしたら前から探しといてくれてたんかな。
しっかりしているようでぽんこつなのは昔からだと思うんやけど、A自身が前ほど気を張らなくなったからなのか。
こんなぼろは前は出さなかったんやけど。
……そんなことも含めてなんだか嬉しくなるから、俺は単純なんやろうな。
向「見して。」
『あ、うん。』
Aから渡されたスマホの画面をいじって、似合いそうな服を探す。
横にいるAは一緒に見ているけれど、口を出さないところを見ると、本当に任せてくれる気らしい。
しばらく見ていると、あるニットに目が留まった。
色の淡さはA好みのはずだ。
問題は素材的に大丈夫かどうか。
これがあるから、いきなりプレゼントというわけにいかないのがもどかしい。
向「これは?」
『可愛い!』
向「着れそう?」
『うん、これ私が好きな生地な感じがする。最終的には着てみないとわからんけど、多分大丈夫だと思う。』
向「じゃ、これやな(笑)」
『はーい、他は?』
向「え、他にもええの?(笑)」
『今、上は決まったから下も決めてもらおうかなって(笑)』
向「んー、そうやなぁ……」
『あ、私のいつもの服と合わせやすいのにしてね(笑)』
向「わかってるって(笑)」
『スカートより、ショートパンツが良いなぁ(笑)』
そんな声に、また画面をスクロールして。
俺も、Aも好きそうなデザインを探す。
良い感じ、と思ったのはオレンジとブラウンが混ざったような色のもの。
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作者名:慈雨 | 作成日時:2019年9月23日 16時