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Aを加入させるかどうかの話で、言われた言葉を思い出した。
覚悟の有無なんて言われて、あの時はあの時なりに腹を括ったつもりだったけれど。
それでも、想像以上のバッシングに動揺したのは俺たちの方だった。
Aはそう思うのも、言われるのも当たり前だと受け止めて、そしてきっと自分も傷付きながらも、俺たちに対して傷付けてごめんなさい、と何度も頭を下げた。
覚悟を問うて認めた気になって、守ってやるなんて思っていたけれど、守るってことがどういうことなのかわかってなかったのは俺たちの方で。
……きっと、Aのことを前から知っていた4人だけが、守ることの意味の重さを、どれだけ難しいのかをわかっていた。
阿「まぁ、Aは一人でまだ立ち向かう勇気がないから避けてるんだと思うんだけど。ちゃんと俺たちだって支えるからっていう意味でも、今回は折れないようにしようかって、佐久間と話したんだよね。衣装のことが、一番取っつきやすいかなって。」
そう話した2人は、やっぱり昔から見てきている分、Aに関しては特に色々なことを考えてくれていて。
未だに俺たちは、感情の起伏が読みづらくて、飄々としているAが何を考えているのか掴めないことも多いけれど、阿部と佐久間、そして康二はわかっていたりする。
渡「あ、だから康二。」
阿「うん、Aのフォローは先に頼んどいたんだよね(笑)」
ラ「だから康二くんも、何も言わなかったんですね。」
宮「最後の砦?(笑)」
佐「まぁ、康二は昔からAの笑顔を守ってたから(笑)」
俺たちと一緒のレッスンでは、笑った顔なんて見たこともないくらいだったけれど、関西ではこっちよりは笑っていたし話していた、ということは後から聞いた。
だから関西のJr.の方が、桃ちゃんと気軽に話しかけるくらいには、よっぽどAに親しみを持っていて、こっちでの印象とはかなり違っていたらしい。
中でも康二は、Aの事情を知っていて、周りと馴染めるようになるべく話しかけていたらしく。
笑顔を守っていた、という言葉もあながち間違いでもないのかもしれない。
目「Aちゃんも、きっとわかってると思いますよ。」
阿「え?」
目「Aちゃんは、俺たちのこと、メチャクチャ気にしてるけど。その中でも特に。阿部くんと佐久間くん、康二くんのことはすごい注意して見てるし。それに、なんかAちゃんは人のこと読めるじゃないっすか(笑)」
ラ「あー、確かに!(笑)」
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作者名:慈雨 | 作成日時:2019年9月23日 16時