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目「けど、ヒールじゃん?疲れてない?」
『大丈夫だよ?……それにスニーカーと迷ってこっちにしたの私だもん(笑)』
目「迷ったんだ?」
『うん、歩くかな?って。けど、身長盛りたい欲の方が勝っちゃったの(笑)』
目「そうなんだ(笑)」
『うん。だから、疲れても自業自得だよね(笑)』
目「俺のために履いてきてくれたんだから、ちゃんと言ってよ。」
『蓮のためじゃないよ、自分のためだよ(笑)』
目「じゃあ、そういうことにしてあげる(笑)」
本音もあるだろうけど、やっぱり気も遣ってくれてるんだろう。
Aちゃんのこういう優しさに救われることは多いけれど、Aちゃんが無理してるんじゃないかと不安にもなる。
いつも感情を表に出しているようでそうでもなくて、飄々としていて。
自分のことを話しているようで、実は自分の思っていることや感じていることはあまり話してくれていないんだと、段々と関わりが増えてから気付いてしまった。
俺が年下だからなのか、それともまだ仲良くなれてないからなのか。
佐久間くんや阿部くん、康二くんになら言えるのかな、なんて思うと少し悔しくて。
俺だってメンバーになったのに、って。
そういう気持ちは、2人きりのはずの今日も随所に顔を出していた。
お互いにテンションや声のトーンが低めでも、会話は続くし笑い合える。
真顔でボケても汲み取ってくれるし、逆も然り。
こういうの波長が合うってことなのかな、なんて思うけれど。
Aちゃんが誰にでも合わせられることも知っているし、演技があまりにも自然で見抜けないことは、嫌というほど思い知ったから。
どこかでずっと不安になる。
楽しいはずの今すら幻なんじゃないかって。
『……蓮、夜ご飯どうするつもりだった?』
目「え?」
『一緒に……食べてくれたりする?』
目「良いんすか?」
『あ、蓮が忙しいなら全然!無理しないでほしいんだけど。』
目「明日も仕事朝から一緒じゃん(笑)」
『だから逆に?ずっと、こいつといたくねぇなとか。』
あぁ、不安が消えた訳じゃないけれど。
俺だけが一日楽しかったというわけではないらしい。
こう言ってくれるってことは、Aちゃんも少しは楽しんでくれたはずで。
目「Aちゃんの気持ちは?」
そんな意地悪を言いたくなった。
今日の楽しさが、俺が感じた居心地の良さが、本当だったのなら。
Aちゃんも少しくらいは気持ちを教えてくれるんじゃないかって。
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作者名:慈雨 | 作成日時:2019年9月23日 16時