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目黒が名前を呼べば、はっとした顔をして。
Aは小さな声で、わかりました、と言った。
『……だけど、もう本当は外れてるんです。』
深「ん?」
『もう、表向きには兼ねてないことになってます。』
岩「つまり、やっぱり良いように使われてるってこと?」
『……』
それはきっと無言の肯定。
本当はAだってわかっていた。
それでも。
何もかもを呑み込んで、やってくれていたんだろう。
佐「まー、Aに表向き、なんてほぼ意味ないもんねー(笑)」
阿「うん、それはそうだけど、佐久間、その発言は絶対今じゃなかった(笑)」
わざと明るく佐久間が言って阿部ちゃんもつっこんだけれど、俺たちが怒っているこの空気はあまり変わらなくて。
ラ「……Aちゃん、辛かったね。俺たちのために一人で色々考えて、我慢してくれてたんだよね、ごめんね。ありがとう。」
そうAに抱きついて言ったラウールの言葉で、はっとした。
俺たちは、Aが嫌な目に遭っていて、それを守れなかったっていう怒りを、知らない内に本人に向け始めていたのかもしれない。
どうして言ってくれなかったんだ、って。
きっと、佐久間と阿部ちゃんはそれをわかっていて、だからああいう言い方をした。
そして、ラウールも。
ずっと黙っていたからこそ、Aの気持ちになって考えていたのかもしれない。
深「ごめん、Aに怒るつもりじゃなくて。俺たち、ちゃんとAを守れなかったことに怒ってるつもりだったの。」
『うん、伝わってるよ。ありがとう。』
そう言って柔らかく笑うから。
あぁ、本当によくできた子なんだよなぁ、なんて。
岩「ごめん。」
『ううん、照くん優しいから。怒れない私の代わりに怒ってくれたんだよね?ありがとう。』
きっと照がこの後気にしないようにと、気を配って。
にこっと笑って、その気持ちが嬉しいよ、とAは付け加えた。
渡「……取り敢えず、ちゃんと上の人にもう一回言った方が良い。」
宮「そうだね。表向きには外れてるって言っても、何の仕事を任せられていて、どういう人にいつも頼まれてるのか、何て言われてるのか、とかをまとめて伝えないと状況は変わらないと思う。」
『けど、』
佐「ちゃんと、Aがどう思ってやってたかも伝えよう?他の人に被害がいくのが嫌だったことも。」
阿「そしたら、向こうの悪行も伝わるしね。」
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作者名:慈雨 | 作成日時:2019年9月23日 16時